「投資から貯蓄へ」そして「貯蓄から投資へ」 ~実質資産の目減りを防ぐ~
前の記事を書いてから間があいてしまいました。これからは少し更新頻度を上げていきたいです。では今日の本題に入ります。今日は「投資から貯蓄へ」そして「貯蓄から投資へ」ということについて話します。突然ですが、今の日本人は海外の人に比べて、資産の貯蓄率がとても高いです。そして、多くの人は貯蓄をすることをプラスに捉えています。一方で、株式投資、不動産投資などの投資に対してはリスクが高いなどの理由からマイナスに捉えているのではないでしょうか?また、お金で増やした「あぶく銭」は人を不幸にするとまで思っている人もいます。しかし、日本の投資に関する歴史を振り返ってみると、もともと日本は投資先進国でした。大阪の淀屋米市場では、世界初の先物取引がおこなわれていました。それ以外でも、世界で最先端の投資システムを作り上げてきました。しかし、現在では「投資より貯蓄」の風潮があります。日本のこんな現状はいつ生み出されたのでしょうか?これは、1930~1940年代に生まれたといっていいでしょう。日本が戦争に突き進む中、日本は財政的に厳しい状態にありました。そこで、国民に「投資から貯蓄」へシフトさせることによって、貯蓄してもらったお金で国債を買い、さらに国債を発行して富国強兵を目指しました。戦争がはじまると、日本政府はさらなる資金調達のために国民に貯蓄を義務化。どんどんと貯蓄を奨励しました。そして、日本人を貯蓄好きへと変化させてしまいました。しかし、貯蓄は実質資産を目減りさせることにつながってしまいます。ここ数十年の日本の長期インフレ率は2%を上回っています。インフレ状態の時に貯蓄をしているとどうなるか?実質資産が目減りしてしまうのです。何故でしょうか?それはインフレが起こることにより、お金の実質的な価値が変わってしまうからです。簡単な例を紹介しましょう。最初に、年間のインフレ率を2%で、あなたは10000円持っていると仮定します。(※インフレ率とは物価の上昇率のことです)今日、10000円で買えるゲームがあります。今日買えば、手持ちのお金はゼロになってしまいますが、ゲームを手に入れることができます。しかし、一年後に買おうと思って貯金しておくと、今の銀行利子率はほぼゼロなので、一年後も10000円持っています。しかし、物価の上昇率は2%なので、ゲームの値段は10200円になっています。後で買おうと思っていたゲームが値上がりして買えなくなってしまうのです。つまり、長期的にインフレ率がプラスになると考えると、貯蓄するということは、資産を目減りさせていることに他ならないのです。逆に株価を長期インフレ率と同じように見ると、株価の上昇率は平均して5%となります。つまり、長期的には資産を増やすことにつながるのです。ちなみに日本のインフレ率の予測はこんな感じです。 図1 日本のインフレ率予測(IMF World Economic Outlook Database, October 2016より筆者作成)最近では、政府も「貯蓄から投資へ」を推進しているようです。しかし、一度根付いてしまった「貯蓄信仰」からはなかなか抜け出せるものではありません。もちろん投資にはリスクがつきものです。しかし、リスクがあるからという理由だけで、投資を行わなければ、実質資産の目減りという事実に気づくことができなくなってしまいます。投資について新しい視点を提供できたようであれば幸いです。これからも、これは知って欲しいということをまとめていくので是非読んでください!P.S.僕が好きなマンガの『インベスターZ』。主人公の財前君は中学校に首席で入学して秘密の投資部に入れさせられます。しかし、彼のお父さんは僕のお父さんと似ていて投資に対してマイナスの考えを持っています。そこでいろいろと起こるわけですが...マンガなのにファイナンスリテラシーを学べるかなり奥深いマンガです。(普通のマンガに比べて文章が多めな気がします。)(画像をクリックするとレビューなどが見れます)