少女には向かない職業
GyaO で配信中の「少女には向かない職業」を第1話から第4話まで一気に見た。
一見、普通の中学生に見える少女が、無邪気な殺意を育ててしまう。
「大事なゲームのカードを破られたから」殺意をいだき、「遊び半分で殺害の方法を試していたら」死んじゃった。
若年者が起こす殺人事件が多くなってきた昨今、現実でも起こりえる事件なだけに怖い。そして、現実で起これば、ワイドショーでゲーム脳だの何だの騒がれるのだろう。ついでに家庭環境に問題があったと言われるのだろう。
たしかに、少女の家庭環境には問題がある。
酒浸りで、仕事もせず、暴力を振るう。こんなのが義父だったら、そりゃ人生に絶望するだろう。
ただ、不思議なのは、何故こんなダメ親父に付き合っているのかということ。さっさと離婚して追い出せばいいのにと思うのだが。収入の面でもどうせ厄介ものだし、血の繋がってない娘が離婚が原因で傷つく恐れもないし、母には愛人がいるし、離婚できない理由が思い当たらない。心臓病で足が不自由な人間を追い出すのは気が引けるのだろうか？いや、暴力を振るわれている段階で、そんな同情心は消えうせるだろう！
無抵抗な人間に暴力を振るう奴に、同情する必要なんてないと思うよ。
DVやイジメを受けた人のニュースを見るたびに、なぜ逃げるなり、抵抗なりしないのか不思議に思ってしまう。抵抗する気力が無くなるぐらい、精神的にダメージを受けているのだろうか。
しょせん、同じ目にあった人間でないとわからないのかもしれないが…。
ここまでの文章でもわかると思うが、決して見ていて楽しいドラマではない。だが、現代がかかえる問題点を少女の視点で描いた、興味深いドラマだと思う。
主人公の少女をはじめ、脇を固める役者の演技力も高い。特に、義父・泰三役の萩原聖人の迫真の演技は必見。本気で泰三が憎くたらしくなること請け合いだ。
ちなみに、私が1番嫌いな人物は泰三で、好きな人物は警官だったりする。重いドラマのなかで、こういう良い人が出てくるとホッとするんだわ。
また、映像と音の取り入れ方も絶妙だ。寂れた漁港、どんよりと曇った空、映画のようなカット、人物の息遣いの音、ちりばめられたピアノの音。すべてが一体となって、リアルで苦い世界に人々を引き込んでいく……。