相変わらず、チラシの裏ですがこれで最後になるはず。死ぬほど長いけど。
ネタばれしまくりなので、プレイ後に読んでください。
舞台は、大学卒業後。社会人1年目の冬からスタート。
春希は、バイト先の出版社に。雪菜はレコード会社に就職。
半同棲的な生活、「普通の」ラブラブカップル。
雰囲気的に、そろそろプロポーズか。という状況。
自分ルールの存在が唯一の弱点か。
お前、こっからどう盤面ひっくり返したら、いまや「日本にいない=物理的な接触、つながりがないかずさ」に勝ち目があるんだよ。と言いたくなります。対外的に見れば有名になりつつある天才ピアニストってアドバンテージはあるし、読み手視点でも、かつての雑誌の特集記事で、春希の「愛」は確認できてるけどさ。でも、もうそれは、終わったことじゃないのか?という。
まあでも、そこはほら、「社会人」であることと「仕事」という言い訳と、これまでのバイト経験の積み上げからくる「ありえない海外出張」と、予定外の追加取材と、ほんとに奇跡のような「偶然」とまだ続いている雪菜の自分ルールが組み合わさったのでなんとかなるんです。
ほんと、クリスマスイブに、出張先のストラスブールという海外で偶然、ミサ目当てにクリスマスイブを共に過ごそうと雪菜との待ち合わせの為に、急いで春希が大聖堂に向かっているときに、運命的な再会を果たすなんていう偶然があるなんてなんてドラマチック・・・・(棒)。
そこで、春希が相変わらず、ダウナーであったなら、雪菜を最優先できていれば。
かつての約束すっぽかしっていうひどい状況の再現を何よりも嫌っていれば。
でも、それは無理だった。なぜなら、かずさは、怪我していて。そして、それを放っておけるほど、春希は冷酷な人間ではなかったし(雪菜に癒されたせいか)、何より、心の中には「かずさに対する深い想い」がくすぶっていて、一目見ただけで身を焦がしそうになっていたから。まだ全然終わってなかったから。
メタ的なことをいうと、雪菜と結ばれた後ですぐ読むことになる場面なので、読み手的には絶対雪菜よりの立場でここは読まざるを得ないはずだからこそ、みんなわかるはずです。
あ、これ、もうなんかやばいな。あと数回かずさと会ったら、それだけでこの春希っていうやつはこっちのコントロールなんて振り切って、かずさに靡いてしまうと。せめて選択肢があればと。(そんなのあるわけないけど。)、まぁでも、これ以上会わなきゃ大丈夫かと。
だって、雪菜に肩入れしていたはずの読み手ですらおとされかかってるからorz。
まぁ、次の日、春希がインタビュー取材をしに行く相手はかずさで。
かずさは、昔から全然変わっていなくて、メインヒロインの貫録をこれでもかと見せつけてくるわけで。
しかも、想いも全然変わってない。いや、わかってたことだけど。
その後、日本を心底嫌っていた「はず」の、「天才ピアニスト」は和解した母親の実は壮大な計画の一環である「日本公演」の開催を了承し、なぜか「日本」にやってくることになる。
しかも、出版社の企画で、ピアニストへの密着取材というのが持ち上がり。
よりにもよって取引先からの指名で春希が担当することになり。
しかも、隣の部屋に住むことになってしまうという。
もうなんか、「お膳立て」がすごいよね。これまで用意した設定をフルに活かして時系列を少し進めて、「責任ある」社会人であることを逃げ道にして、「仕事」の為という言い訳を用意して。
強引に戦える舞台までもっていったよね。おまけに、雪菜とは自分ルールその他のせいで(読み手がどんなに頑張っても)連絡が取れないし。
もう、(精神的なつながりの意味で)間違い起こらないほうがおかしいよって誰だってわかるし。
実際こっからドロドロの戦いが始まります。一番痛々しいけど懐かしい、戦いが。
なので、まぁこっから先は省略して。
結局は、始まりの3人が、どう決着をつけるか、これから先どうしていくのか。
それは以下の3つでした。(3つでいいんだよね。)
①すべてを、元通りに。パワフルな人が、正面からぶつかって元通りに。3人でいる道に。
(といっても、その形は正三角形では、なく二等辺三角形。一番、楽しくてちょっと悲しくて、でもとても、綺麗な終わり方。対外的にも、展開的にも。読み手の精神的にも)
②ひどい裏切りの後のさよなら。想い出として一人で生きる天才。残された2人。
(一番、退廃的。エッチ。でも一番ありそう。というか前回の幕引きと変わってない。雪菜マジ天使。)
③すべてに、さよなら。常識も、立場も、親友も。2人でいるためなら世界だって敵に回す。
(これは、今までの春希のへたれっぷりからすると考えられない覚醒ぶり。個人的には一番好み。でも、なんかもう痛々しくて読んでられない。ほんとに、これでいいのって。だって、ある意味では、春希が春希であることをやめてしまうのだから。これまで、散々「この、屑」って言いたくなる奴だったけど、根本はいいやつだったはずだから。それが、これでいいのかって。まぁ、ラストは雪菜が持ってくんですけどね。)
まぁ、実際プレーした人にはだいたい言いたいことがわかってもらえるような気がします。
ここから先は総評ということで。
この物語は、すべてが、最後のシーンの為に用意されているはず。
そこに至るまでにあった様々な「嫌なこと」も「もう読みたくない」と思わせる個所も、全部綺麗に洗い流すために。
従って、雪菜をなんか受付けないと思った人には、この物語は合わないはずです。
彼女は、設定的にもパッケージ的にも展開的にも2番手扱いを余儀なくされてますが。
明らかに、損な役回りも演じさせられていますが、何でも「許す」春希にとっての精神安定剤とでもいうべき存在で、近くにいるがゆえに、関わらざるを得ない存在であり、彼女はどこでもその存在感を見せつけることになってしまうからです。そして、絶対に「折れない」存在であるがゆえに(まぁ実際は壊れかけるけど、立ち直る)だいたい、おいしいとこは彼女が持っていくことになるからです。
このレビューを書く中で散々魔王とかいってネタにしましたが。
それは、純粋にすごいと思ったからです。いわば、愛です。まじ大天使。
さて、ふざけるのはここまでにして。
この作品には個人的には満点をつけたい。多分ここまで夢中になってやれたゲームはない。
読み手のいうことを聞いてくれない主人公にはもどかしさを感じるし、ああ、あそこでこうさせてくれればと後悔させるし、ライターの手の上で踊らされてるなぁと思ってしまうけど。
悲恋を描いたゲームだからといって、根っからの悪人は出てこないので、初心者お断りでないし、捨てキャラは、ほぼいないし、甘いと言われればそれまでだけど、結局は信者補正乙なのかもしれないけど。
ほんと、非常に、「計算された」綺麗なゲームでした。
てか、レビューってこんなに時間かかってかくものだったけ。
最後に、このブログですが閉鎖する気はないです。
今後もレビュー書けるかどうかは微妙ですが、たまには覗きに来ていただけるとありがたいです。
ではよいお年を。