本番です。

夢の記録。舞台の袖で俺は悠々としていた。だがしかし、悠々としている場合ではなかったのである。

俺はお笑い芸人でこのあと舞台に立たねばならぬ。しかるに俺は話すべきネタというものが全く思いつかないのである。どういうことか。何かのショックでネタをすべて忘れてしまったのか。そうではない。どうやらはなから持ちネタなどなく、まあ本番までにはなんとかとかいいつつ現実逃避の日々を過ごしているうちにいままさに本番二十分前というシチュエーションにいたったという訳のようである。俄然焦り始める俺。あと二十分でなにかひねりだすしかない。しかし、この期に及んでアタマのどこかでは、まああとにじゅっぷんあるしなんとかなるかとすこしおもっている。つくづく甘い男である。ひとつおもいついたネタを頭の中で組み立ててみるがダダすべり必定。あと五分。もうだめだ、とおもって目を醒ますことにした。