連載を振り返って | 会長のブログ

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10月19日に発表された第3四半期のGDPを見て思わず笑ってしまいました。結果は6.9%成長と、筆者が第94回で指摘した第2四半期のGDPに対する以下のコメントそのままだったからです。「今回の発表が仮に6.9%と7%を割り込む数値が発表されていたら、中国政府の統計数値に少しは“良心”を感じたのですが、その期待も裏切られたようです」―ひょっとすると中国政府は本コラムの愛読者なのかも知れませんが、タイミングが少し遅かったようです。つづく23日には、8月26日に実施したばかりの銀行金利の引き下げを発表しました。これで昨年11月以来、一年間で実に6回目の切り下げとなります。やはり実態経済は相当悪いようです。
 さて2012年6月から始まった『日刊CARGO』の連載は節目の百回を迎えましたので、ひとまず終了とさせていただきます。連載期間は3年5ヵ月で、連載開始まもなく尖閣諸島国有化に端を発する反日暴動が起こり騒然たる雰囲気でしたが、13年には無事還暦と上海駐在20周年も迎えることができました。おまけに本コラム46回分をまとめた『会計士の見た上海20年』まで上梓させていただきました。これも読者の皆様のご愛読(?)のほどと感謝申し上げます。なお過去百回のコラムリストを添付しましたが、筆者のコラムは新たに『繊研新聞』電子版で継続します。
 上海駐在22年間、日本から来たお客様に「中国の将来はどうなりますかね?」と多くの質問を受けましたが、「日本は他国のことを心配する余裕などないはず」というのが、筆者の正直な感想です。中国は改革開放以来35年間(81年をスタートとする)で大きく変貌を遂げました。前回ご紹介した『中国の地下経済』の著者はこの35年間の変化を次のように結んでいます(正確には5年前の著書なので30年間)。
「変化の過程では、まず農村に万元戸が生まれ、次に社会で蔑まれながらも商売に乗り出した者の中から億元戸が生まれた。そして彼らは共産党に迎え入れられるほどの成功者となる。間もなくそのビジネス戦線には高学歴組である〝下海〟官僚が加わり、さらに留学帰国組が参入。民間経済(地下経済ではない)は中国経済の主役となる。だが、結局その時代も長くは続かず、いまや国有経済こそが中国経済の中心に君臨している。改革開放政策が打ち出されて暫く、時代の先端を走っていた農民はいつのまにか最底辺へと転げ落ちていた。(中略)中国が今後どこへ向かおうとも、それは必ずしも中国共産党の意思を反映したものではないかもしれないということだ。中国は間違いなく凄まじい勢いで転がり続けている。しかもそれは、転がっている中国にさえ終点が見えないほど入り組んだ意思の集合体なのかもしれないからだ。」
 今後もわれわれは“異形の大国”と付き合っていかざるを得ないようです。