第二回口頭弁論---その22---燕 | 【続】ネコ裁判  「隣のネコも訴えられました。」

第二回口頭弁論---その22---燕

2006-06-17 14:32:11


タロウ     「なぜなら……川畑さんの車はこの日……UMAの駐車場に1時間以上……いえ……

         2時間以上停まったままだったんです。」

細川ヨシヒロ 「えー……山田さん……それの何が意外なんですか?」


今更ながら、少し遅れてヨシヒロさんが相槌を入れる。


タロウ     「だってそうでしょう……銀行に2時間も車を停める用事がある事ってありますか?」

細川ヨシヒロ 「えー……でも……例えばローンの相談とか……。」


少々わざとらしくヨシヒロさんが反論する。


タロウ     「まぁ確かに……そう言う場合もあるかもしれませんが……実は川畑さんは、

         時々長時間に渡ってUMAの駐車場に車を停めている事があるんです……。」

細川ヨシヒロ 「はぁ……そうなんですか?」

タロウ     「ええ……ワタシの裁判の時……またその後も、川畑さんが夜間等……

         全く銀行が業務を行っていない時間にも、UMAの駐車場に車を停めているのを、

         ワタシは確認しているんです。」

細川ヨシヒロ 「なんと……。」


相変わらず棒読みのヨシヒロさんの相槌……。


それが打たれたか否かのタイミングだった……。

今まで随分「無視」を決め込んでいた川畑が動いたのだ。


ゆっくりと右手を挙げて……小声で……


川畑      「異議あり。」


と一言。


裁判官    「原告……。」


「裁判官の許可」。

その効力は正に……枯れかけた鉢植えにタップリと注がれた水のようだった。


別に座ったままでもいいのだが……思わず席を立つ川畑。


川畑      「裁判官!現在の証人の証言は、本訴訟で論ずべき『車の傷の原因』とは無関係ですっ!!

         質問を切り上げて……尋問を打ち切って下さいっ!!」


……あのね……。

確かに前半……「~~~質問を切り上げて」までは正論だが……「打ち切って下さい」は

言い過ぎではないか?


お前のどこにそんな権限があるのだ?


裁判官    「そうですね……被告……それと証人……。」

細川ヨシヒロ 「はい。」

タロウ     「はい……。」


雁首揃えてゴクリと生唾を飲むと……


裁判官    「その答弁は、ワタシも本訴訟と関係無いように思うのですが……。」


と……実に生殺しの返答をよこす。


ワタシは心の中で……「ひょっとしたら裁判官も聞きたいんじゃないの?」などと勘繰ってみるが……

ココは一つ「貸し」を作った方が良いのかもしれない。


タロウ     「まぁ確かに、今の話は……『原告の車に対する保管及び管理がいい加減という点を

         お話しする部分であったかもしれませんね……。」


語尾にイヤミの一つも入れる事を忘れない山田。

多分、川畑はホゾを噛んでいるであろう。


タロウ     「原告の車の傷と、被告のネコとの因果関係……及び、それらと関係する話とは

         ちょっと違うかもしれません……。」


とりあえず訂正しておく。

まぁコレで今さっき食い掛かった川畑と……それを受け入れた裁判官の面目を保つ。


そして返す刀で……


タロウ     「と……言う事で……今の話は割愛しまして……では『原告と車の傷』に話を変えましょう。」


と……佐々木小次郎の如きツバメ返し。


その刹那……細くキレ長い純和風の眼(マナコ)を見開く川畑。


ええホント……真に申し訳ないですが……ココまで「想定内」なんですよ。

カズオさん……。


さぁザックリと斬られて頂きたいのである。




以下次号。