一人ネコ探し
2006-03-25 14:13:18
ユミコ・イチロウ・イチコの御一行を見送ってから、ワタシも力なく独り自転車で
指示されたミミズクトントンUMA銀行の駐車場付近に向かう。
着いた先の駐車場は車一台無い。
そういえば、今日は土曜日だった。
「ネコを探すって言ってもなぁ……」
車の止まっていない駐車場なんて、わざわざ自転車を降りて探す手間すらない。
見渡せば一目瞭然だからだ。
付近を少しウロウロとしてみる。
家と家の隙間を一つ一つ覗いて見る。
正直自転車は要らなかった。
広範囲を捜索するわけではないのだ。
入り組んだ場所を探すのならば、歩いて探した方が更に小回りが利く。
「自転車置いてこよう」
そう思いながら、トロトロと漕いでいると……ヨメさんの八百屋が見えてきた。
ちょっと自転車を置かせてもらおう。
ひょっとしたら白ネコの最新情報が入っているかもしれない。
店先にはせっせと働くヨメさんの姿が見える。
タロウ 「ヨメさ~ん……ちょっと店の脇に自転車置かせて。」
ヨメさん 「おぉ~~っ。タロちゃんかい……ネコ探してんの?」
タロウ 「そうそう。」
と周りを伺うと……
ヨメさん 「あれ?……独りかい?……息子は?」
タロウ 「…………イチロウもイチコもユミコに付いて行った……。」
笑顔で答えてみたが、その心中を察してくれたのか……。
ヨメさん 「……………まぁ………男親はそんなもんだよ。」
と背中を叩く。
ヨメさん 「で……ユミちゃんはどこ探してるの?」
タロウ 「ああ……その辺……らしい。」
と川畑の駐車場の方向を指差す。
ヨメさん 「まぁ頑張ってね……。ワタシも見つけたら連絡するから。」
♪♪♪♪♪~~~
ワタシのケータイが鳴った。
画面を見ると「ユミコ」と表示されている。
急いで出る。
ユミコ 「もしもしタロちゃんっ!!早くっ!!早く来てっ!!」
タロウ 「おっ!!なにっ!?……今どこ!?」
ユミコ 「BMWの駐車場から西に行った月極駐車場の辺りっ!!」
タロウ 「わかったすぐ行くっ!!」
今停めたばかりの自転車のスタンドを跳ね上げる。
八百屋のヨメさんに軽く手を振ってお別れの挨拶。
振り返りもせず、必死で自転車を漕ぐ。
以下次号……「伝書ネコ」