東京な話 | 【続】ネコ裁判  「隣のネコも訴えられました。」

東京な話

本来なら【実録】ネコ裁判の番外編でやるべき話なんですけどね…………。

だって【実録】ネコ裁判が本になる用事で出掛けた「東京」ですから……。


角川書店にっ!!!!!!!!!!


まぁその話は、そのうちまとめて書くとして……とりあえずものすごく印象に残った事を……。




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打ち合わせの途中で……


角川長    「そろそろお昼ですねぇ……。」

担当      「そうですねぇ……。」

角川長    「山田さん……何が食べたいですか?」

タロウ     「ああ……えっと……何でもいいですよ。」

角川長    「何でもって言われると困るんですよぉ……。」

タロウ     「はぁ……。」

角川長    「とりあえず出ましょうか……。」


角川ビルを出てボツボツと……。

思い返してみる……確かにそうだ。


「何でも」と言いながら……「じゃあコレ」と言った途端に「えぇ~~~~っ!!イヤだぁっ!!!」では

話が一向に進展しない。


デートしてて……


男       「なに食べたい?」

女       「なんでもいいよぉ」

男       「じゃあラーメンでも……。」

女       「えぇ~~~~~っ!!!ラーメンなんてヤだよぅっ!!!」


なんて言われたら間違いなくデコパッチンしたくなる。


なのでもう少し条件範囲を絞って提案してみる。


タロウ     「じゃあ……フランチャイズやチェーン店じゃ無いお店で……。」

角川長    「ふむふむ……。」

タロウ     「1000円以内の定食がある店がいいです。」

角川長    「1000円……。」


真剣な眼差しで私をみつめる。


タロウ     「あ……いや……正直……780円くらいの定食がベストなんですけど……。」

角川長    「780円っ!!!???」

タロウ     「ええ……780円……。東京のサラリーマンが普通に食べる昼飯を食べて、

         今後の店のメニューの勉強にしようかと……。」
角川長    「ほほぅ……なるほど……。」


正直、どこで何を食べても勉強である。

だが出来るなら、似通った定食屋の似通った値段の物を食べた方が参考になる。


一拍考えて……。


角川長    「じゃあ和食の方が良いですね?」

タロウ     「ええ……そうですね。」


おぉ……わかってくれたようだ。


飲食店街を先導する角川長。

それについて歩くワタシと担当。


角川長    「じゃあココなんかどうですか?」


と看板を指差した。


タロウ     「え?」

角川長    「うな重なんかどうですか?」


いやね……店構えからして普通じゃない……。

猪脅しが「カッコーーーーーーーン」とか庭から言ってますしね……。

「ワタシの話、聞いてました?」


だいたい門構えのオーラからして違いますよ……。

値段の書いてない「うな重」なんて知りませんよ……。


ヒョイと行ってヒョイと食べられる雰囲気じゃないですよ。

しかも真ッ昼間っから……。


言い忘れてました……ココは東京:神楽坂……。


タロウ     「いやいやいやいやいやいやいやいやっ!!!ウナギはメニューに無いですからっ!!!」


なんてわけの分からない言い訳で全面否定。


角川長    「そうですかぁ……ウナギ……美味いんですけどね……。」


いや……そんな事は百も千も承知ですよ。


でもね……ウチの店にもあるような……そんな昼飯が食べたいんですよ……ワタシ。


それはまぁ建前なんですけどね……うっかりラッキーウェーブに乗っちゃったワタシみたいな物書きに

「値段の分からないうな重」は荷が重過ぎますよ……正直。


角川長    「じゃあ……。」


と言って別の店を探す。


暫く歩いて角川長が立ち止まる。

辿り着いた路地裏の店。


角川長    「天ぷらならお店でも出すでしょ?」

タロウ     「ええ……。」


と言いながら見上げる。


いやね……うな重から天ぷらに変わっただけで、店構えのオーラとか庭の具合とか……

さっきと大差無いんですけど……。


タロウ     「いやいやいやいやいやいや……。」


……と……言いかけたその時……。


角川長    「ここの天ぷらねぇ……あのジョン・レノンも日本に来た折には必ず食べてたんですよ。」

タロウ     「……………。」


……………・。







今なんて言いました?







ジョン・レノンって言いました?




ビートルズのジョン・レノンですよね?

オノ・ヨーコと結婚したジョン・レノンですよね?

イマジンのジョン・レノンですよね?

1980年12月8日にマーク・チャップマンに撃たれて死んじゃったジョン・レノンですよね?





ワタシにとってジョン・レノンって言ったら……既に八百万の神の一人ですよ。


タロウ     「いやいやいやいや……いただきます。」


さっきまでの意志の固さは何処へやら……。


ジョン・レノンの愛した天ぷらを美味しく頂く。

もう値段なんか知らない。


もう一度言っておこう……ココは東京:神楽坂……。





ジョンの食べた天ぷらを食べられただけでも……ワタシは川畑に大感謝である。





さて次回は東京二日目……。

「OLとメイドとタロウと太郎」 ……乞うご期待。


本編開始まで、暫し雑談にお付き合い願いたい。