「信じられないままでいいから…………今は。」




ぢゃり……踏み出した足の下で微かな音がした
俯かせていた彼女の視界に俺の黒い靴の先が見えたのか、深く俯いていた栗色の髪がそろりと上げられる。
驚いたみたいにきょとりと俺を見上げる、あの愛しい琥珀色の瞳。縁取る睫毛が、ぱしぱしと瞬かれる度に滲んだ涙が煌く。




そう、今は




「あんなに怯えさせて泣かせるくらいなら…………ただ想うだけでいいと思ったんだ。どうせ……幸せになんてなっちゃいけない、その筈だったんだからって」



身勝手に人の未来を奪った罪人だから
大切な存在なんて望んじゃいけないと
思っていたのに……
君がいて君を愛しいと想っている
ただそれだけで、もういいんだって



「だけど、この半年の間、ずっと
君の声が聞きたくて、顔が見たくて、君に触れたくて、逢いたかった。」



いつもどこにいても何をしていても、何処かに君を探して求めて苦しくて堪らなかった。
今だって君に触れてしまいたい。
胸の前にぎゅっと強く握り締められている彼女の小さな手が震えていた。
耐えるように身を守るみたいに
だけど、強張ったままの硬い表情の瞳に浮かぶのは……
半年前に見た、あの燃えるような




『破滅と絶望の序曲』そう怯えたままで
『愛』が信じられないのなら……どうか






「一生かけても俺には君だけだって証明してみせるから『愛』じゃなくて……俺を、信じて」





髪を擽るような柔らかな春風にひらりと、立ち竦む君へと揺れ落ちる淡い夢見草。
風に舞い君に触れるそのひとひらを追うみたいに君へと、両の腕を開きさし向ける。
ゆっくりとおいでとまねくように
総てを差し出してただ乞うように




くしゃりと、泣き出す直前のように表情を崩した君の震える唇が声なく……ずるいと、そう動いたのは
君の門出に切羽詰まって余裕も祝いの花さえなく、来賓やマスコミへの配慮も微塵もなく不意打ちのようにやって来た無粋を責めてか
それとも、君へと伸ばす俺の指さきが微かに震えてしまっていることを気付かれてしまったからなのか……




あぁ、でも今はただ
腕に胸のなかに飛び込んで来てくれた君を
引き寄せ強く抱きしめて
浸るように溺れるみたいに
淡く風に舞う夢見草から瞼を閉じた。





 ஐ〰ฺ・:*:・✿ฺ ஐ〰・:*:・・:*:・✿ฺ ஐ〰
 


2周年記念な何か、な2がなんでも!?にいただきましたリクエスト

苺鈴様より
「キョーコちゃんの高校の卒業式に蓮様登場!人目を気にせずに高校までお出迎え→告白。」


ゆに様より
「キョーコちゃんに両手広げておいで(シーツカインの来いみたいな感じ)をする敦賀さん。」

の2つに、お応えしてみたつもりなものとなっております。



パンがなければお菓子をお食べ!ならぬ、愛が信じらないならそれでもいいから俺を信じて!な必死蓮さんとほだされキョコさん。笑
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、



これからちょいちょいと、こんな感じでむりくりにねじ曲げこじつけてリクエストに応えていこうかと思います。
しょせん猫木、期待せずになまぬるいまなこでお付き合いくださいませ☆
_(:3 」∠)_



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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