何がきっかけだっかのか……もう思い出せない。
冬を耐えた花が開くように自然に
雨に打たれた花が落ちるみたいに唐突に
あるべき日常から、足を踏み外してしまった。



黒い瞳に絡め取られたのは視線だけ
指さきだけに感じる体温
回避出来た筈の接触
触れ合った唇が離れて……
私を見る
少しだけ、見開かれたあなたの瞳に



思い知ってしまった



致命的なまでに、行き詰まった我が身を。




何かを……言葉にしようとしていた敦賀さんの唇。
だけど、あの低い優しい声に……音になる、その前に
悲鳴で掻き消した。
恐怖で鼓動が張り裂けてしまいそうだった。
両手で耳を塞ぎ、涙を流し、額を地に伏せてなりふり構わずみっともなく懇願した。



敦賀さんの……その言葉の先を聞いてしまえば
もう、生きていけないと思った。




もしかしたら、ずっと目を逸らしていたのかもしれない。
やわらかなあの笑顔に。敦賀さんの車の助手席やお部屋のキッチンに、私以外の気配も残っていない事に。ふとした瞬間に絡まる眼差しに。触れた手の熱さに。
そんなもの、全部、必死に見えないふりをして



ひとひら、ひとひら……
胸の小箱の中へと降り積もる想いが
例え、敦賀さんが他の誰かの手をとることになっても
その幸せを祝福出来ない人で無しになっても
どれだけ胸が痛もうと、涙を流そうと
降り積もるそれが、朽ちても汚れても
恋なら……
ずっと、ひとり地獄に落ちるその時まで
降り積もり続けるそれを、抱えていれる。
ずっと最後まで想っていられる。



だけど、愛は?
途端に、恐くて堪らない。
振り払われた手と忌々しげに背けられた背中。
へらへらと嘲笑いながら私を切り捨てる言葉。
想いが返されなければ…………
恋ならいい。
片想いのままなら、ずっと貴方を好きでいられる。



私、やっぱり大事なものが欠けたまま



愛なんて信じられない。



私にとっては……『破滅と絶望の序曲』のまま。





来る筈のない、私と距離を置いてラインを引いてくれていた筈の敦賀さんからのその質問に、目を伏せて答えることも出来ずにいる。


沈黙は……肯定。



「そう。なら、もう……いいよ」



ぽつりと、呟かれた低い声。
自分から拒絶した癖に……
見捨てられたと傷付いた身勝手な自分が、嫌で嫌で堪らない。



せめて、滲む涙だけでも隠そうと顔を深く伏せる。
俯いた滲む視界には、地に散り落ちた淡い夢見草。




 ஐ〰ฺ・:*:・✿ฺ ஐ〰・:*:・・:*:・✿ฺ ஐ〰
 
 


| 壁 |д・)…………


| 壁 |         ε=ε=(ノ*・∀・)ノ後編だよ、お終いだよ。


| 壁 |          大丈夫だよ、たぶん?ヾ(・д・ヾ)=3=3


| 壁 |∥彡サッ    たぶん!←
 


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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