ひらり、ひらりと……
淡い花びらが風に舞うように宙を遊ぶ
夢見草、ひとひら
とても幻想的で美しくて儚い。
 
 
 
暮らしていた京都よりも少しだけ遅咲きの桜が花びらを揺らす小さな並木道を歩く。
昨日の夜にきちんとアイロンを当てたシャツとプリーツのスカート。形を整えた首もとのリボンにクリーニングしたてのブレザーとぴかぴかに磨いたローファー。
憧れだった制服。
これからだって『衣装』してなら着用する事もあるかもしれないけれど、『学生服』として袖を通すのは、今日が最後。
 
 
 
 
強く風が吹いて、さぁっと目前を夢見草の花吹雪が染める。
私は、きっと恋をこんな感じのふわふわと綺麗なものだと思い描いていたんだろう。
けど……そんなのは、幻でまやかしだ。
幼い頃から恋だと思っていた相手の前では、泣くこともしないでただ都合のいいように取り繕くろって夢ばかり見ていた気がさえするし
もう二度と堕ちないと恐れていた恋は、心に秘めるだけで地獄行きな、彼の幸せすら望めないほどに醜いものだったもの。
例え、ほんのひと時を……花開いたとしても
行き着く先は地に落ちて土と泥に汚れるだけ
 
 
 
地獄の底へ落ちるその時まで
こっそりと秘める筈だった私の恋は
目の前をひらひらと踊る
薄紅色のかわいらしい花びらみたいに
落ちるように、唐突に
 
 
暴かれてしまった。
 
 
触れてしまった。
 
 
 
 
 
 
 
学業に専念する為……そんな傍目にも不審だろう突然の休業の理由。
マネージャーも正式な契約もない仮初めのラブミー部という自分で立場は、酷く私にとって都合が良かった。
だって、自分で少しづつ仕事のスケジュールを減らしてしまえるんだもん。
ブリッジロックのお兄さんズや気まぐれのプロデューサー、共演した方や監督、いろんな方引き止めてくれた。椹さんには最後まで渋られてしまったし、モー子さんと雨宮さんには叱られた。
あの時のモー子さんのビンタ、痛かったな……
敬愛する先輩には……結局、何も言わないまま

 


 
 
敦賀さんとは、もう半年間会っていない。
 
 
 

 
 
 ஐ〰ฺ・:*:・✿ฺ ஐ〰・:*:・・:*:・✿ฺ ஐ〰
 
 
夢見草→桜の別名。

 
2周年な何かな、な2がなんでも!?にいただきましたリクエスト。
某様のと某様のなリクエスト2つを一緒くたにしたものな予定なものなつもり?


| 壁 |д・)
前編ってしてるけど……後編でまとまるか謎だったり。←行き当たりばったり


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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