猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつとなっております。


✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----



なにかの奇跡のように手が届いてしまったと………そう思ってしまった。
その時にドロリと滴るみたいに私の内に蓄積したもの。
それは、たぶん私の………欲。



結局、どうすれば…何て言えば…どんな顔をしたらいいのかもわからないうちに、背後で敦賀さんが身を起こした気配を感じて振り返った。
………途方に暮れたって顔をした敦賀さんが私を見ていた。
あ………とても、困ってる。
そ、うだよね?私……最上キョーコだもん。私には、なんにもしないって…何度もクギを刺されるくらいの色気もない地味な、笑っちゃうくらいに対象外なお子様。
私、このひとの『キョーコちゃん』じゃ……ないんだもの。
お酒に酔ったせいでの過ち……だったんだ。
『責任なんて感じていただかなくても大丈夫ですよ?だから、忘れて、なかった事にしてしまいましょう?』そう言って、手の掛かるただの後輩の顔をしなくちゃいけないのに………
心臓が凍りついてきゅぅっと小さく小さく縮んでしまったみたい。苦しくて、声が出せない。鼻の奥がツンと痛くて眼が熱くなる。
ダメ……泣いたってどうしようもない。ただ、もっと敦賀さんを困らせるだけなのに……………


『♪~♫~♩♬~~♪』


黙り込んでしまった私を助けるみたいに、目覚ましの音が鳴った。
引っ越し祝いにモー子さんがくれたヤマハ TSX-B232(W) TSXシリーズ デスクトップオーディオシステム。仕事柄不規則な起床時間になる私たち芸能人に嬉しい、一週間分の目覚ましのセットが出来る優れもの。
その音に、弾かれるように思い出した。
そうだ、今日これから私………
「すいません、これから訓練士センターに行かなきゃいけないんです。」
「……訓練士?」
「はい、次のドラマで盲導犬の訓練士の役を演らせていただくんですよ。」
役作りのために講習を受けに行くのだと、わたわたとさも急いでるみたいに敦賀さんの顔も見ずに薄っぺらい身体にシーツを巻きつけて寝室を出る。
ぱたぱたと駆け込んだお風呂場。
冷たいシャワーを頭から浴びて、少しだけ声を殺して泣いた。
急いで身支度をし終わる頃には、敦賀さんも昨日の服をしっかりと着ていて………鞄を持ち部屋を出る私と、敦賀さんも一緒に扉を潜る。
背後でオートロックのドアが閉まる音がした。
なんと言って別れたら良いのかわからない。ただ無言でぺこっと頭を下げ、そのまま歩き出そうとした私の腕を敦賀さんの大きな手が捕まえる。
「……待って」
掠れた低い声。この部屋から解放された敦賀さんが何を言おうとしているのか、考えるのも恐くて
「すいません…時間、ないんです。」
振り払うみたいにした腕。嘘、本当は時間ギリギリなんかじゃない。
ただ、聞きたくなかったの。
カツカツと速く鳴るヒールの音。
振り向く事も出来なかった。



あの手が腕に触れた………その時に、もう駄目なんだって思った。
大きな手、その温度。
きっと、願ってしまう………その手に触れてほしいと。許されないのに。
だから………この欲をしっかりと胸に閉じ込められるようになるまで
ちゃんと後輩の顔が出来るまで
この間違った関係から敦賀さんを解放してあげられるまでは………




✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄


↓拍手コメにて、まじーん様よりいただきましたネタ、相変わらず品番までしっかりみっちりなソレ。あぁ、コピペしたい……を要約すると↓

未遂ではなく家から叩き出される蓮さん。(爆)」

より、ぽちぽちと書いてみたものになっておりやす。

んで、蓮さんを追い出し、しばらくキョコさんと連絡がとれない状況に。家に帰らされた蓮さんは、さてどうする?的な……
って、どうしましょうね?(´Д` )


こんだけあるシリーズ、たまには逃げられっぱなし☆ってのがあったら………ダメかしら?
も、一話行っとく?


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


web拍手 by FC2