qwerty様からのリクエストにお応えしてみようとしてみたつもり……?


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彼は悩んでいた、深く。
温厚紳士でフェミニストな外ズラ、その身のうちに抱えていた闇も愛しいお守りの助けでやや薄まり、煌びやかな芸能界その中でも燦然と輝く実力派俳優にして抱かれたい男NO.1に君臨している向かうところ敵なしな筈の彼、敦賀蓮。
蓮は最近、自宅のとある場所でこうやって悩み込むことがお決まりのようになってしまっていた。



蓮の懊悩のはじまり、それは遡ること3ヶ月ほど前のこと。
それはまるで晴天の霹靂。
その出来事は蓮の胸に深く深く衝撃的に突き刺さり、滅多な事では動じない筈の蓮のにっこり笑顔を形作る表情筋を無表情へと変えた。
その日、蓮は表面にこそ表さないでいたがウキウキと浮かれて所属事務所の部屋、事務所の愛に溢れ過ぎた社長の暴走でとある少女達のために設置されたセクションの部室へと、キャピキャピぐふふ笑いな気配の有能マネージャーを伴い訪れたのだった。
目的は蓮の片思いの相手、恋に傷付き愛を拒絶した恋愛拒否の曲解思考回路を搭載したのかわいくも手強いラスボスとの束の間の逢瀬のため。
蓮と社の訪問を出迎えたのは、礼儀正しく深々と礼をしにっこりと笑うラブミーピンクのツナギな最上キョーコと、そのキョーコの落とす衝撃発言だった。
キョーコは頬を薔薇色に染め、もじもじと両手の指を遊ばせながら長身の蓮を仰ぎ見る。
それは蓮から見ればどうしようもないほどに保護欲と、反するような男の欲までどうしてくれようというほどに刺激するあの上目遣いで。
思わずに固くなる蓮の表情などかまわずにキョーコは、更に蓮の顔を固まらせてしまう事を言ったのだ。


「つ、敦賀さん!あの……私と、男女の……その…お付き合いというものをしていただけませんか?」


だなんて事を。これには蓮はもとより社も心底びっくりで。
寝耳に水、予測不可能ないきなりのキョーコからの告白。蓮の表情筋はピシリと無表情に硬直して、頭はぐるぐるとそれはそれはもう素晴らしい速度で回転していた。
え?最上さんが告白?俺に?お付き合い……しかも男女の?ドッキリ?いや、あの社長の悪ふざけたミッションとか?などと、降って沸いた禍福な出来事を疑って……
けれど、蓮の目の前には愛らしく恥じらい期待に満ちた瞳で自分を見上げているキョーコ。その顔は、恋をする乙女の顔で……
緩む口もとを片手で覆い隠すようにした蓮の指先に触れた己の耳と頬は燃えるみたいに熱い。視界の端では、社がはしゃぎ過ぎた女子高生みたいになってるけど気にしていられない。
「あ………うん。喜んで……」
半分呆然としたような蓮の唇からやっと溢れたのはそんなありふれた言葉。さらに、俳優に有るまじき棒読っぷり。
ここで、今のままの自分に……大切な存在など作れないと決めていたはずなのに。



なんだこれ、夢?俺の願望が見せる妄想?
なんて言うんだっけ、こんなの………二階からぼた餅?
時間制限に追われた蓮はそんな事を考えながら社に引きずられるみたいに次の仕事へと向かう。顔!顔を戻せ!!と言った悲痛な社の叫びを聞き流しながら。
幼馴染からの繰り返されていた暴言な刷り込みによって過剰な程に自分を低く見て自信を持てないでいたキョーコがいきなりの告白、それに硬直する蓮と返事までの空白の沈黙時間にもネガティヴな思考を抱かずに………どこか好かれていると言った自負さえ感じる余裕さえ持っていた違和感にも気付くことも出来ないままで。




その日から、ちょっぴり強気な彼女の攻めの姿勢な男女交際と蓮の悩みな日々がはじまったのだった。




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くっど……三人称、くっどい。
(´Д` )


後編にて、キョコさんの強気な理由の解明を書く……つもりです。どだろね?


↓拍手ボタンのお礼ページを新しくしてみました。『星』『光』『獣』『鳥』のポエムが4種類っす。
ポエム難しいっす。(´Д` )

↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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