猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつとなっております。


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敦賀さんがおかしい。
だって、ありえないくらいかわいいのだ。



恐る恐る寝返りを打って向き合った私を見て敦賀さんは………
にぱぁっと全開で笑っていた。ニッコニコと嬉しそうに。
なに?この神々スマイルとは違った破壊力は!!かわいいんですけどっ!!
ドキドキとうるさい心臓と熱い頬。
目の前の衝撃にかたまってしまった私を「かわいい」だなんてことを耳が溶けてしまいそうな甘い声で言いながら、抱き寄せてぎゅうっと強く抱きしめる。
そうされて、気が付いた。



チェストから目的のものを一揃い取り出すと寝室へと戻る。
モコモコした素材のピンクボーダーのパーカーとホットパンツな部屋着を着た身体がよろよろよちよちした不自然な歩き方をしてしまうのがちょっぴり恥ずかしいけれど、今はそれよりも敦賀さんの事だ。
寝室へと戻ると、一緒に来ようとするのを必死に「待て」をかけた敦賀さんがベッドの上で不服そうに枕を抱えていた。
ペタペタとベッドへと近付いて拗ねたような敦賀さんに腕の中の一揃いの衣服を渡す。
「さぁ、これを着てください。」
「……ねぇ、これ誰の?なんで男物の下着なんて持ってるわけ?」
渡した服、スエットの上下とTシャツとボクサーパンツを見物すると低い低い声で訪ねてくる。
ひいぃぃぃ!!何故!なんで、いきなり魔王降臨一歩手前??
「誰のって、父さんのです!」
「父さんって……クー?」
ニョロニョロと喜んで飛び回る怨キョを感じながらもそう答える私に、まだちょっとだけ不機嫌な気配のある敦賀さん。
「はいっ!一人暮らしをすると報告したら先生が、女の子の一人暮らしは危ないからそうバレないように時々洗濯物に混ぜなさいっていろいろと服を送ってくれたんです。」
セキュリティとかその他いろいろと心配してくれた電話の内容を思い出してほにゃりとニヤけてしまっていた私は、「………今度、俺も持ってくる。」なんて敦賀さんがつぶやいていたのに気付けないでいた。




ふにゃっとへにゃっと顔が崩れてしまうのがわかる。
だって、だってしかたがないのよ!
ありえないくらいかわいかったんだもの。
なんとか先生の服に着替えさせてベッドへと詰め込んだ敦賀さんに体温計をくわえさせた。だって、抱きしめるられて気付いたけど、ありえないくらい体温高いかったんですもの。
38度を表示している体温計を突き付けて
「体調が悪いのに無理をしてお酒なんて飲まれるから、体調が悪化するんですよ!幸い今日は敦賀さんも私もオフですからね、しっかり看病させていただきますから大人しく寝ててくださいね。」
と、無理やりに布団の中へと詰め込むと
「………看病してくれるの?帰れって言わない?」
なんてことを布団から目だけ覗かせながら言ってきたりなさるし、ええ!もうっ!かわいーなちくしょう!どーせ、敦賀さんのおうちの冷蔵庫の中には水とアルコールとサプリメントくらいしか入ってないし、心配で帰らせるなんてできませんよ!!
離れようとすると「行っちゃ、やだ。」なんて手を握ってくるし、お粥を作って持っていけば「食べさせて?」なんてこてんと小首を傾げておねだりしてくるし、またそれが、ボサボサ頭でぽかりと口を開けて待ってる口もとにレンゲを運んでやれば嬉しそうにちまちまと食べるその姿はでっかいのに小鳥さんみたいだったしで、もうなにあれ!かわいーんですけど!!



なんだか昨日はとんでもないことになってしまったように記憶があるけど………今は、敦賀さんの熱が下がるまでは看病する事だけ考えよう。
ぶんぶんと頭を振ってぐるぐるした思考を消して、流しで洗い物をしていると………
「あ、ここにいた。」
と、少しよたっとした敦賀さんがキッチンへとやって来ていた。
「どうしたんですか?寝てないといけませんよ?」
と、そう叱るように言えば
「やだ。」
なんて甘えたなことを言ってエプロンの端をぎゅっと掴む。
熱で人恋しくなってしまってるのだろうと、その手を引いて寝室へと戻る。きゅっと手を握ってご機嫌に着いてくる大きな病人を布団の中に改めて押し込む。
「大人しく寝ててくださいね。」
ぽんぽんと被せた布団を叩くと、洗い物の続きにキッチンへと戻ろうとした私の手を高い温度の大きな手が掴む。
「キョーコちゃん、行っちゃやだ。」
振り返ると捨て犬っぽい表情をした人が……
胸がずきりと痛む。やっぱり………このひとは、熱を出すと私を『キョーコちゃん』を間違えてしまうんだ………
捕まった手をそっと外す。
「違いますよ………私は、最上キョーコはあなたの『キョーコちゃん』じゃないんですよ。」
だって、敦賀さんの『キョーコちゃん』は彼の4つ年下の女子高生だった女の子。
人生にたった数度の発熱、そんなものに茹だったひとの間違い、それをさくりと飲み込めないほどに………このひとの『キョーコちゃん』じゃないのが胸に痛くて唇を噛んだ。
「なんで?……昨日やっと捕まえたと思ったのになんでそんなこと言うの?」
ぎゅうっと外した手がまた熱い手に捕まる。
見上げてくる黒色の目が熱でうるうると潤んでいて、否定を許さない。
「言っておくけど、キョーコちゃんの男にやっとなれたんだから逃がすつもりなんてこれっぽっちもないよ?」




「君は俺のキョーコちゃんだよね?」



うりゅうりゅと、否定しようもんなら泣き出してやると言わんがばかりの潤んだ瞳のかわいい彼。
そんな彼に誰が否と言えるものなのか?




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↓拍手コメにて葉月様よりちょうだいしたネタ

敦賀さんがお熱(いわゆるヤッてしまったための知恵熱)を出し、キョーコちゃんが看病。熱からくるうるうるでノックアウト…!そのまま交際(はては婚約、結婚?)まで押し切ってしまうのはどうでしょう…?」

よりぽちぽちとお前さんの方が熱だすんかいっ!?となりながら、書いてみたものとなります。
あれ?泣き落としってなんか前にも書かなかったっけ?(´Д` )?←読み返しな羞恥プレイをしない鳥頭。
なんかあんまり押し切った感がないなぁ、これ。すいやせん。


オチが変わんなくても視点変わったの読みたいぜよってお声をちょいといただいております。
うぇ?どれを?
え?もうどんなん書いたかあやふやなのに?。(;°皿°)



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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