猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きひとつの、番外編的なやつでやんす。


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焦る彼女の声と手に揺り起こされた。



なんだろう………ほら、もうちょっとさ?色気とかムードとか甘い空気とかがあったりするものじゃないのか?ふたりのはじめての朝だよ?
『……蓮、おきて?』とか『そんなに見ないでください………恥ずかしいです』なんて、そんな甘い妄想を描いてたりしていた俺を嘲笑うようにガックガクと勢い良過ぎるほどに揺すられている。
あーー、やっぱり最上さんは俺の予測なんて軽く凌駕してみせるんだなぁ……
「敦賀さんっ!?敦賀さぁーーん!!何、遠い目をしてらっしゃるんですか?」
俺の肩をがしっと掴んで揺する彼女。
一糸纏わぬ白い肌を、昨夜は恥ずかしがって隠そうとがんばっていたやわらかな胸を、散らばる俺の独占欲の赤い花を隠そうともせずに………眼福だなぁなんて、目の前の魅力的な景色に現実逃避していた。
そうもしたくなるってもんだろ?



「起きてください、敦賀さんっ!!」
わっしわっしと肩を揺する手と必死な声に、何事かと目を覚ますと彼女は言ったんだ。
「さぁ、帰ってください!至急!大至急!!出来得るかぎりの迅速なスピードで!可及的速やかに超特急で帰宅してください!!」
のっぴきならぬ声と必死な形相で。
「なんでそんなに急いで帰そうとするのかな?誰か来る予定でもあるの?……男?」
つい、不機嫌に低く冷たくなってしまった声に脅えた彼女はオドオドと、だけどしっかりと主張しだしたのだ。
「いえ!誰も来る予定はごさいませんっ!でも、急いでいただかないとそろそろ世間一般の方の活動時間になってしまいますぅ~!!だから、出来得る限り人目のない内にひっそりこっそり気配を殺して帰宅していただかないと、敦賀蓮の初スキャンダルなんてそんな恐ろしい事にっ!!神の寵児たる敦賀さんの名前に傷がっ!!」
思わず、はぁぁーーっと深い深いため息を吐いてしまうのも仕方がなくないか?
昨日の夜………時間にすれば数時間前まで俺は確かに彼女を抱いていた筈で、目の前の彼女の肌にはその名残が色濃く残っていて、間違いなく『先輩後輩』から『男女』へと変わったと思っていたのにそれなのに………純情乙女だった彼女が身じたくより先に頭の中を支配したのは『敦賀蓮の初スキャンダル』なんてそんなどうでもいい事で………
「俺、もう敦賀蓮なんてやめたい。」
がっくりと力の抜けたような俺は揺り起こされた上半身をバタンッとベッドの上へと戻した。



そうやって、彼女の寝台を占拠して裸のまま横たわる俺とその俺の排除に躍起になる彼女という現状が出来上がったのだった。
「敦賀さぁん!そりゃ、私なんかとのスキャンダルがショックなのは解りますけど今ならまだスクープされないで済むかもしれません!だから…」
「い・や・だ!君とのスキャンダルなら望むところだ!むしろ公表して回りたいくらいだって言ってるだろ?」
「そんな……ヤケにならないで下さい!」
「い・や・だ・ね。ここは最上さんの匂いがして居心地いいんだ。帰ってなんてやるもんか。」
説得しようとする彼女から、ふいっと顔を背けて彼女の香りのする枕をぎゅうぎゅうに抱き込む。
「は、裸で私の枕なんて抱きしめないで下さいっ!」
「それも、い・や・だ!だって、君を抱きしめさせてくれないんだ、だったら枕ぐらいいいだろ?」
あの手この手で俺をベッドから引きず出してさっさとこの家から追い出そうとする彼女とベッドの上で嫌だ嫌だと駄々を捏ねる俺。
せっかく、降って湧いたこの幸福で果報な大ラッキー金星的な一夜をなかったことになんてさせるものか!
こうなったら、こうやって彼女の寝台に居座るように彼女の、最上キョーコ中に俺の居場所を無理やりにでも構築してそこに居直って居座って住み着いてやる!!
そんな野望を胸に決めた俺を、「えいやぁ!!」と気合いの篭りまくった声とぐるんと引っ張られたシーツが襲う。
カインとセツとして過ごした時にもされたシーツごとひっぺがしに合ってゴロリとベッドの上を転がされる俺、端まで寄せるようにされた俺を見下ろして彼女が言った。
「さぁさぁ、シャワーを浴びて来てください。その間に軽くつまめる朝食を作りますから、それを食べたら………」
「い・や………いや、シャワーね、シャワー。」
するりとベッドから立ち上がる俺を見て嬉しそうな彼女。そんな迂闊な彼女を抱き寄せる。
「じゃぁ、キョーコも一緒に入ろうね?」
にっこりと笑ってそう宣言してやる。
「へ?え?いや、あの……」
「前に、料理中じゃない時ならぜひって言っただろ?」
真っ赤になっておたおたと逃げようとするキョーコを腕にしっかりと捕まえてシャワールームへと向かう。




さぁ、あの時の凹んだ分を取り戻させてもらおう。
きっと風呂に立て篭ってる内に、キョーコの言う世間一般の方の活動時間には余裕でなるだろう?




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まじーん様からいただきやしたネタ

朝起きて動揺後、乙女的反応より先に「敦賀蓮のスキャンダル」のことが頭に過ってしまったキョコさんは、とにかくなべく早く「敦賀蓮に自分の家に帰ってもらおう」と焦りまくります。しかし、大ラッキー金星をなかったことになどされたくない蓮さんは、ベッドの上からなかなか離れず、最後にはお風呂場に立てこもり?的な感じで家に帰らないと駄々をこねる。」

よりぽちぽちと。
ん?書いてから気付いたんすけど、これあれかな?お風呂場に立てこもるのは蓮さんひとりな感じだったのかしら?
キョーコちゃんまで引きずり込んじゃった。
すいやせん!((((;゚Д゚)))))))


ネタがなくなったら失速しようと決めたこのシリーズ………ネタがなくなりませんっ!次々来るよ!びっくり☆
みんな、この変な朝のふたり好きなの?
魔人様んとこの倉庫が溢れないかちょっぴり心配。


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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