猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつの超番外編的なものとなっております。


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ピンポーン


懊悩する私と眠る敦賀さんのいる部屋にインターホンが鳴り響く。慌ててベッドから降り、散らばった服を拾い集めて寝室を出る。
あちこちに痛みと違和感のある身体をなんとか騙して服を被ると、モニターを確認する。そこに、映し出されていたのは………にっこりと笑って手を振る社さんだった。
『おはよー、キョーコちゃん。昨日は、蓮の事頼んじゃってごめんね~。蓮のやつと連絡取れないんだけど、何か知ってるかな?』
そう言った社さんになんと答えて良いのかわからずに、ダラダラと冷や汗を流しながらうぅーと唸ってしまった。
『キョーコちゃん………ごめん、上げてもらってもいいかな?』
すっと笑顔を消した社さんがそう言った………疑問符が付いてるけど断定的な言い方で。
わぁ、その言い方まるでいつぞやの敦賀さんみたいですねなんて心で泣きそうになりながら、震える指でマンションのエントランスのオートロックを開けた。



あわあわと身支度をしていると玄関のチャイムが鳴った。
引きつった笑顔で恐る恐るドアをそぅっと薄く開けると、張り付いたみたいな笑顔の社さん。
「おはよう、キョーコちゃん。………………それ、蓮の靴だよね?お邪魔させてもらってもいいかな?」
うわぁーん、目が恐いです!な、社さんに逆らえやしなかった。
「蓮はどこかな?」
リビングまで案内した社さんがにっこりと笑って聞く。寝室からはなにやらガサガサと物音がする。スゥッと社さんの視線が寝室のドアへと動く。
「開けてもいい?あぁ、キョーコちゃんは座っててね~」
コテンと首を傾げて聞く社さんにただコクコクと頷く。ソファーに座った背中にだらっと汗が滲む。
「蓮、開けるぞ?」
おざなりな一応のノック。中からの「待ってください」が言い終わる前に開けられた扉。
中にあるのは、情.事の気配の名残るベッドと散らばった服と辛うじてボクサーパンツを身に付けただけのボサボサ頭の寝起きな敦賀さん……………
社さんの目と部屋の空気の温度が一気に急降下した気が致します。
「とりあえず、蓮。キョーコちゃんのプライベート空間なそこから出て来て、座れ。」
ヒンヤリと極寒な声に青ざめた敦賀さんが服を拾い集めて寝室を飛び出し、リビングへとやって来る。
敦賀さんの大魔王な時も思うけど、美形さんが本気で怒ると恐いよぅ。
「あの、社さん…」
「蓮、座れ。正座。」
有無言わさぬ社さんの冷たい声。リビングのフローリングの上、すちゃっと条件反射のように正座するパンいちな敦賀さん。
ふぅぅーーーと、深くため息を吐いた社さんは、息を吸い込むとぼそりと重くつぶやいた。
「お兄ちゃんは悲しい………」
敦賀さんは青くした額に汗を浮かばせて少し慌ててらっしゃるようだけど、そんな挙動も社さんの冷たい一瞥で黙らせられている。
にょろりにょろりと怨キョが嬉しそうに社さんに纏わりつこうと浮かれて飛んで行くのをおたおたと抑える。
「いくら何年も何年もずっと片思いして煮詰まりに煮詰まってたとしてもだ!ちゃんと告白もしないまま酒の勢いでキョーコちゃんを襲うだなんてなぁ?」
ぎょっとした顔の敦賀さんが口を開こうとするけれど
「黙れ、このケダモノが……」
社さんが吐き捨てるように遮ると、私の方を見て
「ごめんね、こんなやつを信用した俺にも責任がある。後で、きちんと謝罪に行くからキョーコちゃんはとりあえず今からだるま屋に避難しようね。」
そうすまなそうに私に言う。
「あの、あの……」
「いいんだよ、キョーコちゃん。こいつを庇ったりしなくても………キョーコちゃんの事がいくら好きで好きでもヘタれにヘタれてた癖に、キョーコちゃんが曲解思考回路で想いを理解してくれないからって許していい事じゃない。」
は?……え?………ん?社さんの言っていることが理解出来ないまま
「本当キョーコちゃんへの想いを自覚しやがる前から、好きな子をイジメて泣かせる小学生みたいに意地悪したり嫌味言ってみたり、告白もしてないのに先輩の立場を振りかざして下心満載のくせに保護者ヅラでキョーコちゃんに釘は刺すわ、馬の骨は威嚇してまわるは……だいたいキョーコちゃんと馬の骨を一緒にいさせたくないからって朝食2度食いして食べ過ぎで動けなくなったり、ちゃっかり事務所からそう言われたとか嘘吐いて一緒にインタビュー受けるように仕向けたりなんてヘタれ極まりないなっさけない事ばっかりしやがる一方で、彼氏でもないのに勝手に嫉妬して怒ってキョーコちゃんを怖がらせてばっかりしてるから、キョーコちゃんが混乱して伝わらないんだよ。」
ぶちぶちぶちぶちとそう長々と文句を吐く社さん。発音もブレスも完璧ですね流石長年敦賀さんと組んでらっしゃるだけのことはあるわぁ~、なんて現実逃避していると
「キョーコちゃん、ちょっとの間耳塞いでてくれるかな?」
と、言われたので触らぬ神に祟りなしと大人しく即座に耳に手を当てた。
敦賀さんに何事かを聞いている社さんと真っ白になってコクコクと大きく頷いている敦賀さん。
にっこりと笑った社さんに促されるままに部屋を出る。社さんは魂が抜けたみたいに悲壮な顔でぐたっと正座している敦賀さんに「戻って来るまで、そのまま反省してろ」とそう言いつけてから私をタクシーでだるま屋へと送ってくれた。



「あら、キョーコちゃんどうしたんだい?」
にこやかに受け入れてくれた女将さん。
「すいません、後でまた説明に参りますのでキョーコちゃんの事をお願いします。」
そう言い残した社さんがいなくなった後には
「敦賀さんが、小学生で意地悪嫌味な先輩は馬の骨と食べ過ぎがインタビューで嫉妬な大魔王がヘタれでヘタれで………社さんが恐かったよぉぉぉーーー!」
と混乱のるつぼにハマって顔を赤くしたり青くしたりな私と、さらにオロオロと慌てる女将さんだけが残されてたの。




その後、ヘロッヘロになるまでお説教された後になんとか社さんの誤解を解いたヘタれ男は、ひょんな事からいろいろといっぺんに理解に至り逃げ惑うラブミー部のラスボスを捕まえては拝み倒すように口説くことになったとかならないとか。



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↓拍手コメにて葉月様よりいただきましたネタ

「キョーコちゃんに敦賀さんの介抱を頼んだので、やっしーが様子を見にキョーコちゃんの家を訪ねて「蓮がついにキョーコちゃん襲ったよぉ~」って誤解しちゃうのもありだと思います。そこからヘタレを暴露される敦賀さん」

から妄想した話にございます。
最近、社さんいっぱい書いてる気がしやす。しかも、不憫じゃないやっしー。
( ´艸`)
あ、キョコちゃんが耳塞いでる時に社さんが蓮さんに聞いてるのはちゃんと避.妊したかどうかです。笑


忘却の裏で限定行ってみたり、社さん乱入☆したり、本当にやりたい放題だなこのシリーズ。大丈夫ですかね?←なにがだろ?
(´Д` )


さぁ、次はなにが来るやら来ないやら?


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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