qwerty様からのリクエストに答えるべく、がんばってはみたけれど………


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トントントンとドアをノックする。
「はーい!」
と、そう元気に返ってきたかわいらしい元気な声にニッコリと笑顔が浮かぶ。
そうやって俺は今日もこのラブミー部の部室のドアを開けた。
「おはようございます、社さん。今日はお一人なんですか?」
今日も気持ちのいい挨拶と綺麗な所作。
「おはよー、キョーコちゃん。うん、ちょっと俳優部と事務でそれぞれに用事があってさ、蓮とはここで待ち合わせになってるんだけどお邪魔しててもいいかな?」
所属事務所であろうがすぐに人に捕まりまくってしまう俺の担当俳優に休息を取らせるには、あまり人の来ないこのラブミー部の部室なんかは便利が良すぎてよく利用させていただいている。
まぁ、そんなのは言い訳でヘタれに片思いを続けちゃってる蓮とキョーコちゃんを会わせてあげたいってのが本命なんだけどね。
「はい、どうぞー。お茶淹れますね。それにしても、社さんも敦賀さんもすっかりここの常連さんですねー。おふたりの分のラブミーツナギもご用意しちゃいましょうか?」
「ええー?ラブミーピンクな敦賀蓮は面白そうだけど、俺は遠慮しとくよぉ~」
と、そんな軽口を交わしながら進められた席に座る。
テーブルの上をふと見ると一枚の紙。
「なにこれ?アンケート?」
「いえ、ちょっと雑誌の取材で………なんて答えていいか悩んでたんですよ。」
お茶を持ってきてくれたキョーコちゃんがちょっと困り顔をしている。
「そうなの?」
「はい、この『恋人にするならどんなタイプの男性?』ってのが………前に、恋なんて二度としませんって答えて椹さんに叱られてしまったんですけど……」
俺の担当俳優みたいのはどうかな?なんてオススメしてしまいたいが、ぐっと堪えた俺はちょっと思い付いて鞄を探る。
「あっ!俺、ちょうどいい物持ってるよー!」
取り出したのは一冊の雑誌。パラパラとお目当てのページを探すとそれを開いてキョーコちゃんに見せた。
「あなたにオススメ彼氏フローチャート??」
「そう、簡単な二択に答えてくとオススメ彼氏タイプに辿り着くってやつだよー!じゃ、まず最初の質問ね。年上と年下、恋人にするならどっち?」
恋愛なんてそんな愚かな事は私に必要ありません!な顔をしているキョーコちゃんを、振り切って勝手に質問をはじめる。
「………年上?」
あからさまにしぶしぶとした顔だけど答えてくれる。
(クエッションマーク付いてるけど、良かったな蓮!)
「イベント事や記念日は大事にしたい?」
「むぅ………それなりに?」
(YESでいいのかな?たぶん。あー、キョーコちゃんの顔色が変わりそうなくらいイベント、記念日、プレゼントまみれにしそうだよなぁ……)
「男は軽いより重いくらいの方がよい?」
「軟派な男は嫌いです。」
(うん、大丈夫!お兄ちゃんが太鼓判を押すよ、重過ぎるくらいだよ、恋人でもないのに勝手な独占欲バリバリだからな。それで、恐がられるって悪循環なんとかしてほしいもんだよ。)
「私と仕事どっちが大事?どっちって答えてほしい?」
「お仕事ですね。」
(そもそもそんな質問しませんけど?って顔してる。まぁ、キョーコちゃんもあいつもプロ意識高いもんな。)
「浄化されそうになった事がある??」
「あぅ………はい。」
(変な質問だなぁ?キョーコちゃんもなんか遠い目をしちゃってるし)
「キラキラ笑顔が刺さって痛い???」
「あぅぅぅ………はい。」
(………なんだこれ?)
「最後の質問、大魔王には逆らえない???」
「はぅぅぅぅ!!逆らいませんっ!!」
(キョーコちゃん、ガタガタ震えながら直立敬礼しちゃってる………)
「あなたにオススメのするのは………外ヅラ紳士なヘタれワンコタイプ………捨て犬を拾っちまったら最後。重量級の重っ苦しいの俺は嫌いじゃないけど………下手すっと普通に粘着質なストーカータイプだから躾が必要だと思うぞ?」
そこまで読んだところでドアが開いて蓮がやって来たもんだから………もう、我慢出来ずにテーブルをバンバンと叩いてふきだした。
腹が、腹が痛い!
机の上に広げられていた雑誌。
それは、ローリィ宝田プレゼンツな社内誌『愛がすべてだ』と言うやたらキラキラと言うかギラギラと言うかな派手な物だった。





横でハンドルを握る男の機嫌が悪い。俳優部での用事が長引いて満足にキョーコちゃんを構えなかったからってなぁ。
「ちょっとキョーコちゃんと雑誌で遊んでただけだろ?」
拗ねてしまった蓮にそう文句を付ける。
「拗ねてません。」
「なんだよー、蓮くんにもフローチャート診断してやろっか?」
「遠慮しますよ。」
素っ気なく言いはる蓮にニヤニヤと笑いながら聞いた。
「恋愛拒絶曲解思考回路搭載の手強いラスボスがたまらない?」
「………………」
蓮くん?返事がないぞー?と、ニタニタしてる俺。否定しようもんなら俺、キョーコちゃんのスケジュールの横流しをタレント部に頼むのやめちゃうもんねー。
「そんなの、一択じゃないですか」
小さな声でそうこぼす蓮。
うんうん。お兄ちゃん、応援してやるからなー!
「さー、今日は、お昼にキョーコちゃんの特製のお弁当が待ってるからがんばろうな?」
キョーコちゃんが蓮に持たせてくれたお弁当箱。
これで、今日の昼はこいつに食事をさせるって厄介な仕事がなくなったぞっと。






その頃、キョーコは「お弁当を残さずに食べてくれるひと」と、書いてみた文字をひとり真っ赤になって消していた。




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3333番目の拍手を叩いてくださいましたqwerty様からのリクエスト

「社さん、大好きなんで、キョーコちゃんと社さんが、恋バナ的な  きゃーってたのしそうな感じの  ....なんか」

でした。けど、なんかよくわからないものになってしまった気が致します。(´Д` )
こんなんでどうでしょうかしらね。


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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