「大事にされるのはとても幸せなのでしょう。でも、それだけでは足りないのも愛なのかもしれませんわね。」



一度走り出すと止まらない、そんな自分をキョーコ自身でさえどうかと思ってしまう。
流石に、コウノトリやキャベツ畑なレベルではないけどそれに毛が生えた程度と言ってしまっても過言ではないような拙いものだったキョーコのその手の知識。
それは、マリアから借り受けたもので、わひゃー!だの、きゃー!だのとひとりで悲鳴をあげつつ恐々真っ赤に恥じらいながらもなんとか一通りの理解に至った。そして、キョーコが生きようと決めた世界な芸能界ではその手の話題など至る所で実は花咲いていて「彼ってばいつもいつも私から押し倒してに誘わないとしてくれないのよ」「あー、草食系彼氏ってやつ?」「でも、スイッチが入っちゃえば結構オラオラ系でノリノリになるくせになぁ」なんて、そんなキョーコが今まで意識の外に置いてことごとくスルーしていた話題も、ひっそりこっそりと砂が水を吸収するように頭へと蓄積されていった。
そして、キョーコの中に今までにはなかった願望が芽生えた。
あの魅力の塊みたいなひとの全てを独占してしまいたい………ほんのひと時であったとしても、それが欲しかった。



だから、キョーコは行動へと移す事にしてみたのだ。
狭い島国の住宅事情に正面から喧嘩を売るみたいなふざけた敷地面積を誇る高級マンションの最上階ワンフロアな、その部屋のリビングの値段を聞くのも恐いような高級感溢れる大きなソファーの上で。
摂食障害かと思うほどに自主的に食事を取ることのない実力派俳優に食事をさせるという使命を果たし、もしこの空間に第三者の存在があったのならデロデロと胸焼けを覚えるみたいな甘い空気を振りまくふたりが食後のティータイムを過ごていた時。そっと……そっとにじっと、キョーコが蓮との距離を狭めた。
ふわっと香る甘いみたいなキョーコの香りと近くに感じる体温。それが、蓮の顔を無表情なものに変えて「そろそろ、送るよ」と、そんなお約束な言葉を引き出す。
いつもなら少し寂しいと思いながらも頷くキョーコであったが、今日のキョーコにはひっそりとその薄い胸に秘めた覚悟があった。
だから、少しうつむくみたいに蓮の目からその表情を隠したキョーコはフルフルと左右に首を振って言った。
「私の事………好きですか?」
不安に震えた声で。その愛らしい様子に囲い込んでしまいたいほどの庇護欲となかせてしまいたいと灯る欲望が湧き上がるのを、ぎゅっと強く手を握り締める事でなんとか誤魔化した蓮が「もちろん、大好きだよ」なんて、赤面してしまいそうなほどの甘さを含んだ声で答えた。
キョーコの腕が蓮の肩へと伸び、トンッとその肩を押す。そんな予測外の行動に目を見開いた蓮の上半身は、押されるままにドサリとその背後に沈み込んだ。それを追ってキョーコがその上へと乗り上がった。
「じゃ………いいですよね?」
するりと蓮の頬を指先でなぞるキョーコの唇から溢れたそんな言葉。
ソファーの上、押し倒された蓮と押し倒したキョーコ。
双方とも表面には出ずとも、いっぱいいっぱいな混乱の渦の真っただ中で慌てふためいていた。



そして、キョーコの取る次なる言動はその混乱にさらなる拍車をかける事になるのだったけれど。




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あれー?
ゆるるくさんと飴さんのなうで遊んでた時の妄想はもそっとすんなりした感じだったのになぁ?(´Д` )

さて、あの妄想通りに行けるかしら?
もうすでに道を外れてる気もしてたりなんて………
。(;°皿°)



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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