猫木の妄想駄文俺の唇に美酒を、腕に猛獣を。の続きなお話ゆるるく様から素敵な桃いお話いただいちゃいました☆(アメンバー限定)をくださいましたお素敵サイト『狭間に在る東屋』のゆるるく様よりいただきましたコメントに妄想がテロを起こした駄文となっております。
酔っぱらいの蓮さんが夢心地のままに最後まで暴走しちゃったお話の次の朝と後日談的な感じです。




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『唇に笑みを、背後に猛獣を。』


ふわふわと微睡みの中を彷徨っていた。
サラサラの肌触りのいいシーツと、すべすべしたあたたかいぬくもり。
少し硬い枕に頭を乗せていて………ん?
私の枕こんな感じだったかな?そんな疑問が頭をよぎるんだけど、まだ目を開けたくないくらいのとろとろとした疲労みたいなものがあって。
目を閉じたままで手探りで包むみたいにされているあたたかいものの正体を探る。
ぺたぺたとその滑らかなあたたかいものを撫でていたら、クスクスと微かな笑い声と「くすぐったいよ?」と、そんな甘い低い声。
思わずにパチリと瞼をあげると、そこにいたのは………じゅぅっと浄化してしまいそうなくらい神々しく微笑んだ敦賀さんが。
「もしかして………誘ってるの?」なんて耳もとで囁いたりなんてされたから「いいぃぃぃえ!!もう、今日は無理です!!」と、ギシギシ軋むみたいな違和感満載の身体をした私は、それはそれはもう必死に訴えたの。そんな私を見て、耐えきれないとでもいうみたいに敦賀さんが肩を震わせて吹き出して笑う。


ムカッとした。純潔なる乙女の柔肌をお酒の勢いなんかで弄んでおいて、ひどいっ!!と、そう思ってしまった。体調が万全であったなら走って逃走してしまいたい気分だけど、どうにも走れそうもないのでくるっと敦賀さんに背を向けてシーツに包まるみたいにして広い広いベッドの端まで逃げる。
「ごめん……逃げないで……」
そんな切なげな呟きと一緒に回される力強いがっしりした腕。その腕にさらわれるみたいにして敦賀さんの胸まで戻されてしまう。
「むぅぅぅー!!」
と、威嚇するみたいな唸り声をあげるとシーツ越しに頭を撫でられた。
「ね?最上さんじゃなくってキョーコって呼びたいんだけどいいかな?」そんなことをウキウキした気配を含ませつつ言いながらシーツが剥がれていく。まだ、ちょっと腑に落ちないみたいな気に食わなさがあったから「やです!」と不貞腐れ気味につぶやく。そんな私の顔を覗き込むみたいにして来た敦賀さんが言ったの。
「ね?キョーコ、許して?」
って眉を八の字に落としてそのさらさらの黒い前髪を揺らしてコテンと首を傾げて。



もう!もう!そんな捨て犬みたいな顔されたら怒っていられないじゃないですか!!





それからの敦賀さんはもう本当にどうしたんですか?ってくらいに、デロデロでドロドロに甘く甘くなってしまって
「かわいいキョーコ、好きだよ。愛してる。」そんな台詞が雨霰の如く降り注ぐようになり、「キョーコのはじめては勢いでもらっちゃったからね?プロポーズはキョーコの理想を出来るだけ叶えるから期待して?キョーコが望むなら俺は白馬にだって乗るよ。」なんてそんなことや「もうキョーコを離したくないから一緒にこの部屋に住もう?」とか「馬の骨除けに指輪作ってもいい?この指に。」って言いながら左手の薬指に口付けたりなんかが、日常茶飯事になってしまったの。
そう人目も気にしないで………
すぐにふたりの関係は業界に知れ渡る事になり、青い顔をしているであろう私に敦賀さんはそれはそれはご機嫌な笑顔を見せた。「計画した通りだよ」って文字がくっきりしっかり書いてある顔で。






ある日、それを知ったバカが何故か乗り込んで来たりした。
「あいつにつまずいたら京都で中居する約束はどーした!?」なんて怒鳴るバカに「あー、なんかつまずくってより縋られてるみたいで拒めなかったのよ。」と、他人ごとみたいに答えた。
「おまっ!!お前、やっぱり恋愛ごとにしか頭がいっぱいにならない馬鹿女じゃねぇか!!」
と、そうなんだか必死な顔をするやつに
「違うわよ、頭がいっぱいなのは彼の方。あんたももう出て行った方がいいわよ?そろそろ………」
カツカツと鳴る靴音。優雅な歩行なのに異常なスピードで敦賀さんがやって来た。
馬鹿から離すみたいにその長い腕が私囲い込んでくる。絡みつくみたいにされた、私の背後にいるのはきっと、兇悪に威嚇する猛獣の瞳をしたひと。
その眼を向けられて、バカが後ずさりする。
「キョーコ……お前、復讐は?」
そんな絞り出すみたいな問いに、にんやりと唇に笑みを乗せて答える。
「別にもうどうでもいいわ。私、今、幸せなの。」


背後に猛獣を従えて。