ぼやぼやと安定しない視界に白い天井が見える。
瞼が重くて重くてうまく目を開けていられない。
ぼんやりと、どこか遠くに定期的に鳴る電子音を聞いてた。




『偉大なる先輩と不肖の後輩』それが、絶対安心出来るあのひとと私の距離。
だって、敦賀さんの演じる事への情熱は揺るぎのないものだと信じられるから。でもね、それが私へ向けられたら?
心の奥底で密かにひっそりと想う………それさえも罪だと思うのに。
恋人だなんてそんな関係、信じられない。
きっと………私がいらなくなる時がやって来る。お母さんもショーちゃんも、自分さえ捨てて尽くして尽くしたひとは私を棄てたもの。
あのひとが………敦賀さんに背中を向けられたら?そんなの耐えられない。
だから、駄目なんです。追いかけるから………いつまでも追いかけていくから………お願い、言わないでください。
そんな甘い言葉をそんな目で………クラクラする。あの目で見つめられるとまっすぐに立っていられない。頭の中までぐにゃぐにゃになってしまって、ドキドキとうるさい心臓が口から飛び出してしまいそう。顔も何処もかしこも熱くて熱くて熱くて………あれ?それから?
私、どうしたんだっけ?






手も足も鉛で出来てるみたいに重くってしょうがなくって寝返りも出来ない。息が苦しくて苦しくて………寒いみたいな気がする、そんな身体が他人のもののよう。
そんな中で、右手だけ暖かかった。
パチリと、なんだか酷く久しぶりに瞼が開いた気がした。
それから、暖かい自分の右手がとても気になってそろそろと首をそちらに向けて………信じられないものを、見た。


私の右手を溺れた人みたいに置き去りにされそうな子どもみたいに縋りつくみたいに握って、敦賀さんが………泣いていた。
ズビズビぐじゅぐじゅと、あの敦賀蓮ともあろう方が鼻なんてすすって、ぼろぼろと泣いていた。
そんな敦賀さんの黒をたくさん含んだ濡れた眼が私を見る。
「ね………最上さん。俺は、最上さん………恐いよ。この3日間、恐くてしかたがなかったんだ。君の意識が戻ったって連絡もなくて………カメラの前で無理矢理に敦賀蓮に、なれたのは、それは、君が………。最上さん……君の手に触れてあたたかいとわかるまで、恐くて恐くて……お願いだよ。」
うっくひっくとヒクつく喉を鳴らしながら言い募るその言葉の意味はよくわからなかったけれど
「ね?………君の言うことならなんでも聞くよ、なんだってしてみせるから……君が食べろって言うならなんでも………いくらでも腹に詰め込んでみせるから、だから………そばにいて…俺を、置いていかないで。」
そうやってくしゃくしゃとその綺麗な顔を歪ませて、大きな身体を震わせるこの男のひとを………





抱きしめてあげたいと、そう思ったの。





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湖都様からのリクエスト

『輩後輩の微妙な位置でキョコちゃんがそこそこの病気になってしまい、蓮さまにひたすら隠し通す、勿論ハッピーエンドで終わるお話。蓮様はグイグイアタック、キョコちゃんはひらすら頑なで』

でした。
ん?ハッピーエンド………の気配みたいな感じで終わってしまった。
(´Д` )
さらに、そこそこの病気の具体案とかなくて適当に流してしまった。
(´Д` (´Д` )
こんなんで、もうしわけねっす。
(´Д` (´Д` (´Д` )


こんなもんしか書けやせんけんど、リクエストって結構面白い。


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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