1600番目の拍手を叩いてくださったutahane様のリクエストに答えてみようとがんばってみます。


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あーあ、着いちゃったよ、なんの問題もなく………
普通はさぁ、ホラなんかさ攫われた姫を助けてくれって拒否権も用意せずに頼む勝手な王様とか大陸を移動するために必要な乗り物とかを手に入れるために古代の技術を求めて洞窟へとか中ボスとか四天王とかさ、いろいろ試練ってのがあるものじゃない?
深い森を抜けた先にある城、それを見上げてそんな事を思う俺は勇者なんだとさ。
そう、勇者。産まれた時にそう決まってた。
ちょっと剣と魔法が使えて人より丈夫。
そんな、俺はザコとの戦闘ひとつなく辿り着てしまったわけだ………この魔王城の前に。


「邪魔しやぁーす。」
とりあえず、そんな事を言いながら大きな扉を開ける。
がらんとひと気のない、石造りの広いエントランスに深紅の絨毯が道を示すようにひかれていた。
もう、こうなったらヤケだな。魔王とやらを倒しに行ってしまおう。俺、光の加護を受けた勇者だし、たぶん大丈夫だろ?
絨毯の上をてくてくと歩く。
エントランスから階段を上がり廊下を進んだ突き当たりの豪奢な扉。それを、そろぉりと開けた先は、玉座がある広い部屋………そこにいたのは
白いシンプルなワンピースを着た女の子だった。
白の貫頭衣みたいなワンピース、茶色の髪の毛とすらりと細い手足はむき出しのままで靴もなく裸足だった。
きょとんとした表情で俺を見る少女、その首にある黒のゴツい首輪を見て俺は理解した。彼女は、この魔王城に捕らえられた人間に違いないと。
玉座に魔王の姿はない、今はとりあえず彼女を保護するのを優先すべきだろうと彼女に声をかけた。
「君、大丈夫か?」
コテンと首を傾げた彼女。脅えさせないようにゆっくりと近付いて行くと、にこっと笑った………かわいい。
「魔王はいないみたいだな………君、名前は?」
周りを見渡してから、彼女の白い手を取ろうと手を伸ばしたその時に
「迂闊に触れられない方が身のためかと思われますが」
女の声がした。敵か!?と彼女の手を取り背中に庇うようにして声の方へ剣を向けながら対峙する。
「………あぁ、もー遅かったようでございます。」
黒髪に赤い角を生やし、黒のお仕着せを身に付けた女の魔物がウンザリと言った表情を見せている。


「汚い手で触るな」
低い地の底から響くみたいな声がした。


次の瞬間、背筋を走る感じた事のないほどに重厚な闇の気配。片手で握りしめた彼女の手を引いて守るように抱き寄せ、もう片方の手で剣を強く握る。
いつの間にか部屋の中に黒い髪と瞳、そしてなによりも黒いオーラみたいなものを纏わせた男がいた………その睨みつける恐ろしげな眼と今にも襲い掛かってきそうな歴戦を感じさせる体躯。
「お前が魔王か!!」
少し、震えた声はあれだ!………武者震いってやつだ。
この部屋にいるのは魔王と女の魔物、二対一、さらにこっちは無防備で華奢な彼女を護りながらか………タラリと額を汗が流れる。けど、何故か腕の中のあたたかい彼女を見捨てる気にはなれなかった。
やるだけやって………せめて、彼女だけは………とそう腹をくくった俺に


「違いますよ?蓮は魔王じゃないです。魔王は私ですよ?」


そんな予想外の言葉が掛けられた。
鈴が鳴るみたいなかわいらしい良く通る声は、腕の中からしていた。




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うーむ、なんだか斜めな方向に突っ走ってる気が致します。
(´Д` )


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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