解る方には解るであろう企画参加していたふたりのお話。


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なんか………こ、こわいよぅぅ
怒ると静かに目だけで人が殺せてしまいそうなくらい恐いけど、いつも優しくて助けてくれて、そばにいるだけで勇気をくれるみたいな先輩………は、勿体無くも私の彼氏様なわけでございまして。
私は今、そんなどんな事があっても守ってくださりそうな彼氏様のお部屋におじゃましていて………でも、その彼氏様が恐いなんて………どうすればいいのぉ?
叶わないと思っていた秘密の恋をしていた私に、敦賀さんが好きだと言ってくれて私も箱に隠し込んだ恋心を出してあげる事が出来たの。
そうやって、お付き合いが始まって……天然タラシでコマシな口説き魔様は、釣った魚にエサはやらないどころか釣った魚は前にも増してエサだらけって感じに「もう誰に断る事なく好きって言える立場にやっと立てたんだよ?」なんて言いながらもその甘い言葉が止まることなく贈られ続けられていた。
そんなノンストップな彼氏様に連れて来られてしまった高級マンションの最上階。ここに辿り着く前に頼んで買いに寄らせてもらった食材を手に、もう私のお城とさえ言えてしまいそうなほどに使い慣れたキッチンへと逃げ込んだんだけど………
右へと動いてお野菜を切れば右へと、左に動いてお鍋に火を入れれば左へと………そんなふうにずっと私に張り付くみたいな熱い熱い強い射抜くみたいなその視線が………こわいよぅぅ。





愛しい愛しい可愛い彼女。
可愛くて可愛くてその指先からむしゃむしゃと食べてしまいたいような、いっその事この部屋の奥の奥、俺の寝室あたりにしまい込んで誰にも見せないように触れさせないようにしてしまいたい彼女。
そんな俺の愛しのキョーコちゃんは、俺が抱きしめてほんの子どもみたいなキスを贈るだけで真っ赤になってぐるぐると目を回してしまう。
真っさらで純情な彼女に合わせてゆっくりとふたりで進んで行けたら………なんて、大人ぶってみてもやっと手に入れた誰はばかる事なく気持ちを告げれる立場が嬉しくて、止めることなんか出来ない。
今だって、彼女のスケジュールさえニヤニヤと把握してしまう程に優秀なマネージャーの助けを借りて待ち伏せるみたいにして半ば無理やりに連れて帰ってきた。その途端にぎゅーと食材の入ったエコバッグを抱きしめてするすりと逃げるみたいにキッチンに篭ってしまったキョーコちゃん。
そんな彼女が面白い筈もなく、ねだる。

「ね?俺の事、好き?」

びっくりしたみたいに何時もより大きく大きくなった茶色の瞳。

「だって、いつも俺ばっかりキョーコちゃんに好きって言ってる。俺の事、好きって言って?」

茶色の飴玉みたいなその瞳がぶるぶると逃げるみたいに鍋の中や流し台なんかをウロウロと泳ぐ………それでも、俺は彼女をじっと見つめる。

「………す、すすすす、すすき」

「ススキの時期にはまだ早いと思うよ?」

「ちがっ………す!す、す、す………すき?」

「疑問符が余分かな」

真っ赤になってモジモジとして必死な彼女はもう抱きしめて離したくなんてないくらいに可愛いんだけれど、俺の欲しい言葉をいくら待てど暮らせどくれそうもないから………それなら
彼女の城みたいなキッチンへと浸入して、コンロの火をカタリと止めて、彼女を腕の中に囲い込んだ。



「俺の事、愛してるって、お願いだから言って?」



自ら貰いにねじ込んでいくしかないだろ?







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猫木は結構このふたりお気に入りなんすけど、どうかしらね?
(´Д` )



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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