パラレルなんだとさ。



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家まで続くなだらかな坂道、それを登りきる頃には雨もだいぶ弱く弱くなっていた。
家の前で送ってくれた光さんにもう一度礼を言って、その姿が坂道を下って行くのを見送る。
振り返り手を振る光さんに手を振り返す。


狭い庭に付いた金属フレームの背の低い門扉。
それを押し開け庭に入り、閉める。
家の玄関へと振り返って、びくりっと身体が大きく震えた。玄関の前、薄暗いそこに溶け込むみたいにひっそりと立っていたその人を見つけて。
そんな目で………見られたことなどない、そんな剣呑な目で睨めつけるように私を見る。ぞわりと背中の毛が逆立つみたいな悪寒が走る。
「……く、ぉん?」
思わず後ずさった背後でカシャンッと門扉が冷たい金属音を立てた。


門扉を背にそこから動くことが出来なくなった私の方へと、のっそりとひどくゆっくりと歩み寄ってくる。
口端をにぃっと歪に吊り上げて笑む久遠からひどく不機嫌な苛立ちを感じて、全身の産毛が逆立つみたいに小さな震えが身体中を走る。
「キョーコちゃん………さっきの男、誰?」
いつもより低い地を這うみたいな声が尋ねる。
「 さっき、の……光さん…のこと?」
と、震える喉から絞り出すみたいに答える。声が、ひどく震えているのが恥ずかしく、虚勢をはるように前方に立つ久遠をきっと見遣る。
「光さん?光さん、ねぇ。………その光さんとやらとはどういう関係なの?」
見上げた私をひどく楽しげににんやりとなぶるように見下ろした久遠。
その長い腕が伸ばされ、背後の門扉を掴むと、私の左右に閉じ込めるみたいにその逞しい腕が堅牢な檻が築く。
背中をまるめるようにして近づいた久遠の顔が私を真近で覗き込むよう。嘘など許さないと語るその強い視線。怒りの色を濃く乗せた翠の瞳から目を逸らすことが出来ない。
「光さんは………バイト先で知り合って」
と、そこまで言った時にはそのひどく綺麗な翠色が恐ろしいほど近くにあった。
続きの言葉を綴ることは、唇に重ねられたふにっとやわらかなあたたかいもので塞がれて出来なかった。



唇を覆うそれと、目の前の近過ぎる久遠の顔。
頭が真っ白に染まる。
ふわっと唇が解放される。思考の停止した状態で身動きひとつ出来ない私に、その翠がにっと細められる。
小首を傾げる様に角度を変えて再び近づいてくるその翠と雨粒を含んだ金色を見て、漸く、自分がキスされていたのだと、今まさに再び唇が重ねられようとしているのだと頭が理解した。


「っ!!ぃや………やぁ」


小さく掠れた悲鳴を上げながら目の前の久遠の胸を押す。
力で敵う筈などないその胸は、ひどくあっさりと腕を降ろした。




何にも考えることなど出来ないままに、震える手で必死に鍵を開けると、空回る足で這うように転がるように二階の自分の部屋に入る。
ベッドの布団を捲り上げて隠れるみたいに頭からすっぽりと包まりその中で小さく小さく身を丸め、まるで、その中だけが安心で安全な世界だと言わんがばかりに逃げ込んだ。




そんな事などありもしないのに。





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わんこ2匹かクーパパが待ち受けててのドタバタでコメディな世界にするか、迷った挙句のこっち。
ⅠⅠⅠ(O▽O)


さて、どーすんべかな、こっから。
フュージ○ンで、完ってしたら怒られるかしら?やっぱり。



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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