パラレルですたい!


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お昼休み、一緒にお弁当を食べる約束だったのをすっぽかして………就業のベルに追い立てられてるみたいに避けるみたいに逃げるように向かったバイト先。
おとなりの男の子たちには、今日はバイトで遅くなるから晩ごはんはふたりで食べてと朝に伝えていた。
ちょこまかと準備をすませ、賄いをいただく。厨房の奥の隅でまだしょんぼりとしたみたいな気分を引きずっていると、女将さんがコトリと小鉢を置いた。
「キョーコちゃん、これ好きだろ?お食べ?」
中にはお店の人気メニューの鯖の味噌煮。
「え?でも………」
と、女将さんを見上げれば
「あんた、今日どこか元気ないみたいだからあの人、心配してるよ?これもあの人が持ってけって言ってね。」
と、大将の背中を見やりながら教えてくれた。
「すいません……ありがとうございます!」
しょぼくれた顔で接客なんて、とんでもない!大将と女将さんに心配なんてかけちゃいけないわ。
ほろりと美味しい鯖の味噌煮を食べながら、頭を切り替えた。



食事時のいちばん忙しい時間帯を少し過ぎた頃。
いつも通り常連客を中心に賑やかなお店。
アットホームなお店だから、長くバイトをやっていると常連さんとも仲良くなってくる。
今日も、近くの大学に通う仲良し3人組の光さんと雄生さんと慎一さんがにこやかに大将と話していた。
大学で意気投合した3人の唯一の不満は、全員が高橋であるため苗字で呼ばれた時に誰かわからないということ。そんな石橋さんたちは、私の事を妹みたいにかわいがってくれているこのお店の常連さんだ。
今も大学での出来事を面白おかしく話し、大将にそっけなく「くだらない」と言われて大袈裟に嘆いてみせている。それを笑いながら眺めていたら、女将さんに言われた。
「キョーコちゃん、今日はもうそろそろあがって大丈夫だよ。気を付けて帰るんだよ?」と。





そして、なぜか今、家までのなだらかな坂道をふたりで歩いている。
ひとつの傘に入って。


着替えと片付けと挨拶を済まし、バイト先を出た。
ちょっと歩いた頃に、ぽつんとぽつんと落ちてきた雨粒。最近、雨が多い。
そんな事を考えながらスクールバッグを探る。いつも入ってる折りたたみ傘が見つからない。………そうだ、あのこたちが帰って来た日に出した傘を入れ忘れてたんだわ。
どうしよう?コンビニ……は、駅前だからちょっと遠いし、もう少し濡れる覚悟で走っちゃおうかな?と、そんな事を思ってたら、石橋さんたちに声をかけられた。
「キョーコちゃん、傘ないの?じゃ、光に送ってもらいなよ?」
「雨に濡れて帰ったら風邪ひくで?光のためにもキョーコちゃん送られてあげてな?お願いやで?」
と、有無を言わさぬままに雄生さんと慎一さんにお願い?されて、気が付いたら光さんに送ってもらうことに決まっていた。
「すいません、わざわざ送っていただいて………」
「いや、全然大丈夫!………俺、嬉しいし」
と、後半声が小さ過ぎて聞こえなかったけど…そんな事を話しながら歩く。





家までのなだらかな坂道。
そこを登りきったその先に待ち構えている人がいるなんて知らないままに。



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はてさて、むふー。
誰か待ってるのやら。(´Д` )


本日、本屋さんでウミウシの写真集を買うかどうするか結構本気で悩んでた猫木です。
あぁ、買えばよかったかな………ウミウシかわいいよ、ウミウシ。






↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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