湖都様からのリクエストに答えるべく、がんばってみようと思います。


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くそっ!!
なんで気付く事が出来なかった!!
他の誰でもない大切なあの娘………人の顔を見る度に食事の事を聞いてくるくらい人の事を気にかけるのに、昔から自分の痛みはまるっと全部素知らぬ顔で抱え込んでしまう娘だって知っていたじゃないか!?
俺は………俺は……最上さん、君が………




『尊敬する先輩と手のかかる後輩』彼女が掲げる俺と彼女の関係。
敦賀教なんて恐ろしげな宗教まで立ち上げて、俺を遠い遠い所へ置こうとする彼女。
役も立場もなく、もっと自然に絶対的に彼女の隣に立ちたくて………触れてしまいたくて、ただの男として見てもらいたくて、最上さんに気持ちを告げた。
待っていたのは、軽蔑の目でも存在の消去でもなく………困惑と不信。
嫌がらせとか新手のイジメだとか新しい芝居の練習やら社長からのミッションだとかを疑われて、俺の気持ちを全く信じてくれない最上さんに……俺は時間の許す限り愛を囁いた。
だって、彼女は『ラブミー部のラスボス』押して駄目なら引いてみろなんてそんな一般的な恋の駆け引きなんてなぞってみたりしたら、どんな曲解な解答に辿り着いてしまうかわかったもんじゃないから、だから誤解しようもないほどに押して押して半ば力尽くにでも押し通る気概で追い回していた。
浮かれていたんだと思う………彼女に気持ちを隠さなくていい事に、不安げに揺れるその瞳に俺を、俺だけを写してくれる事に、その頬が赤らんでいく事に………目を曇らせ切ってしまっていた。
だから、気が付けなかった。


社さんが告げる時間切れの言葉の影に彼女が付いていた、はふぅと言う安心したみたいな小さなため息に
何時もならまっすぐに綺麗に伸びているはずの小さな背中が壁にもたれかかるみたいにして自分の身体を支えていた事に
彼女のかわいい顔を彩るファンデーションやチークが少しずつ濃く塗られるようになっていった変化に
眉を下げて困ったみたいに笑う………そんな彼女の白い手に触れて、やっと………ようやく気が付いた。
彼女の手が、身体が異常なほどに熱い事に





白い白い無機質な廊下。
そこに置かれた黒いベンチソファーに腰を落とし、身体を折り畳んで祈るみたいに組んだ手に頭を乗せていた。
「………蓮、もう時間だ。」
社さんの絞り出すみたいな声。縋るみたいに顔を上げれば、社さんの首がゆっくりと左右に振られる。
これから、予定されたスケジュールのままに仕事へ出れば3日は帰って来れない………俺は、はじめて、仕事を捨てたいと………そう思った。
「駄目だ。お前が仕事に穴を開けたなんて、キョーコちゃんが後から知ったらキョーコちゃんが自分を責める………だから、蓮。はやく『敦賀蓮』の顔に戻れ。」
社さんの顔がくしゃりと歪む。
俺は………君がいない、そんな世界で………笑う事が出来るんだろうか?




白い病室の中、横たわった君の意識はまだ戻る事はないままだった。




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さて、後編をどうやってまとめようか。
ダラダラしないように数字じゃなくて前編にしたからには、前後編でまとめたいなぁ。
(´Д` )



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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