猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつとなっております。


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気が付いたらありえないくらいに甘い世界にいたの。
世の女性の誰もが望むだろうその腕の中に………


伝える気もない報われない恋の相手。
その彼の腕に頭を乗せ、乙女の憧れ腕まくらであたたかでしなやかに硬い彼の胸にぺたりと寄り添って寝そべっていた。
もう片方の手が私の髪を優しく撫でる………まるで愛しいものにふれるように。
そろりと見上げれば、神々しいまでににこやかに笑う秀麗なかんばせ。
トロリと滴る蜂蜜みたいに甘い眼差しに見つめらていた。頬が赤らんでいくのがわかるくらいに顔が熱い。
そんな私を見つめ、目を細めるようにますますその浄化されてしまいそうな笑みを深める。
見つめ合っていられなくて目を逸らすとおでこに暖かく濡れた感触。ちゅっと、小さなリップ音がそこにくちづけが落とされたのだと教える。
彼の………敦賀さんの唇が触れた。ただそれだけの事にますます顔が耳が首が熱く赤くなるのがわかる。
クスリと小さく笑う気配。
「かわいい」
と落とされた低い掠れた甘い声。
羞恥にもだもだと悶えて彼の腕から逃げるように彼に背を向けて小さくまるまるようにシーツに顔を隠す。
追いかけるように伸ばされた腕に抱きしめられる。
「顔、見せてよ?」
そんな事をねだるみたいに甘く言われた。
「……ぃや。」
答えた声は掠れ、酷使され乾いていた喉がけほけほと咳こんでしまった。
「ちょっと待ってて。」
背後に横たわっていた彼が私の後頭部を撫でると起き上がりベッドから抜け出していくのを感じた。
そのまま部屋を抜け出ていく彼。


いなくなってしまったぬくもり。
全部全部、都合のいい私の愚かな恋心が見せた儚い夢だったみたいに、さみしく冷たくなってしまった背中。
ぼんやりとそんな事を思いながら身体をベッドから起こす。
視界に広がる、私のプライベート空間。
何気なく見遣った壁に掛かった妖精画のカレンダー。昨日、出かける前にどうせ帰りの予定時間が遅いのだからと開いた新しいページ。
緑のドレスのかわいいフェアリーが野に遊ぶ4月のページ。


「エイプリルフール………の嘘、だったのかな………?」
あんな、あまりにもありえない私に甘い甘い敦賀さんとの朝の一時。
お酒の勢いで男と女になってしまった、範囲外のただの手のかかる後輩。
はじめてだった私を思いやって優しい彼が見せてくれた優しい優しい嘘の世界。
「そうよね、四月馬鹿だったんだわ。………だって、ありえないもん。」
「なにが?」
「さっきみたいな………敦賀さんと両想いみたいな………私に都合良すぎること………だって、敦賀さん………私のことなんて」
「愛してるけど?」
ふと、あごをとられて向かい合っていた緑のフェアリーからいつの間にかミネラルウォーターのペットボトルを片手にベッドに腰掛けていた敦賀さんの方へ顔を向けられる。
「愛してるよ。そんなに不安なら、ちゃんと信じてもらえるようにずっとずっと今日が、エイプリルフールが終わるまで一緒にこのベッドにいて、エイプリルフールが終わってからもずっとずっと抱きしめて愛してるって言い続けようか?」
敦賀さんが手にしたミネラルウォーターを口に含むと、それを私に口移しで与える。甘く触れ合った舌が最後にぺろりと私の唇をなぞるのに、背中にぞわりと波が立つ。


どこかまだ夢の中のようにぼんやりとした私を再びベッドへと沈めた敦賀さんが言った。



「まぁ、君とベッドにいて抱きしめるだけで終われるとは思わないけど………エイプリルフールなんて物だと思われたくないから………その身体にも、思い知らせてあげるよ?」





四月馬鹿たちの甘い甘い朝に、どうやら終わりはないみたい。



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エイプリルフールで妄想してたんですよ………


そしたら、何故か蓮さんとキョーコちゃんのふたりがカエルを食べる食べないって話になりまして………詳しい味付けや調理方法などを描写してる途中で、それはちょっとなーって気付きました。
ので、一から新しくぽちぽちとしてみたらこんなんが出来ましたとさ。


壁|д')
猫木は、カエル、美味しいしかわいいから好きなんですけどね。




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