haruyama-ma様よりのリクエストにお答えしてみようとがんばってみます。


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最近、俺の担当俳優はすごく調子がいい。
比例するように、俺の胃はキリキリ痛むこともあるけどね。


担当俳優くんはそれはそれはもう我が世の春を満喫してらっしゃるらしく、春の陽射しのようだと言われていた笑みがさらにキラキラと輝きを増し、益々その人気を伸ばしている。


つまり、蓮くんは最近浮かれまくって地に足も付かない有様なのだ。
それもそのはず、この見た目無駄に遊び人風百戦錬磨で恋愛音痴なヘタれ野郎は、ついにその執念でもって恋愛拒絶の曲解思考回路なラブミー部のラスボスを籠絡したのだった。


ずっとやきもきするふたりを見守ってた、おにーちゃんも嬉しいよ?
ただね?
そのにこやかな笑顔があの元ラブミーピンクなラスボスを視界に入れた途端にとろとろに蕩けたり鼻の下が伸びたりと、『敦賀蓮』の商品イメージから欠け離れるのとか………愛しい彼女としばらく会えてない状態になると飢えた獣めいた危ない目で色気をたれ流しながらため息祭りになるのはやめてくれないかな?
胃が痛むから………




まぁ、昨日キョーコちゃんとの久方ぶりのおうちデートを楽しんだらしい蓮くんは鼻歌でも歌い出さんがばかりにご機嫌なご様子だ。
その時に楽屋のドアがノックされた。


開いたドアの外に姿勢よく立っていたのは蓮の愛しい女の子。
そりゃ、ついつい俺の顔もニヤニヤとしたものになるよ。
でも、やっぱり恋を知っても最上キョーコ、彼女の行動は予測のつかないものだった。
彼女は、愛しい恋人の蓮ではなく何故かまっすぐにずんずんと勢い良く俺に迫り来ると真剣な顔で言った。
「社さん!!つ、敦賀さんのスマホ………敦賀さんのスマホを………」
上目遣いで必死の形相で何かを訴えてくる。
「スマホ?蓮のスマホがどうしたの?」
「敦賀さんのスマホが誰の目にも触れないように注意してください!!もう、いっそ、この奇跡のクラッシャーな手で10秒でも20秒でも30秒でも握りしめちゃってください!!」
がしっと俺の両手を握りしめて掲げる。
「な、何?なんかそんなにヤバいものでも入ってるの?」
そんな事を聞き返してると、いつの間にか瞬間移動の様にキョーコちゃんの背後に回り込んだ蓮が、キョーコちゃんを後ろから抱きしめるみたいにしてその耳元で囁く。
「キョーコ、俺以外の男に仕事以外で触っちゃダメ。………妬かせたいの?」
やたらと腰に来る甘い低音で。
キョーコちゃんの顔が見る間にクルクルと赤から青にかわり、わたわたと暴れて蓮の腕から逃げて行く。


「だって………だって、大量のマニアック盗撮写真がぁぁーーー!」


と、言う尾を引くような声だけを残して。


はっと気が付いて、今にも追いかけて捕獲せんとする担当俳優くんに声をかける。
「蓮、そろそろ移動の時間だ。」
「………はい。」





「………そんなマニアックなもんじゃありませんよ?」
ハンドルを握る男が苦々しく言ってきた。
「ふぅぅん?それにしちゃ、キョーコちゃん真っ赤だったぞ!?あんな純情乙女だった娘にどんな破廉恥な盗撮したんだ、お前!!」
おにーちゃんは許しませんよ!
「キョーコが俺を撮ったのと同じ撮り方で撮っただけですよ。パーツ別に撮っていって最後に全体を撮るって………それにキョーコの目の前で撮ってるから盗撮じゃないですよ。」
「なんだそれ?鑑識みたいな撮り方だな。って、目の前で撮ってたら気がつくだろ?」
横の男がにやりと悪い笑みを浮かべて言う。
「キョーコ、許容範囲が小さめでちょっと刺激が強かったりするとぐるぐるに自分の思考の渦にはまり込むんですよね………無防備に。」
刺激が強かったりって………お前、何やったんだ?とは、口には出せずにそんな事を思う。
「それに、スマホに入ってるのは耳とか唇とか首とか指とかのとキョーコの笑顔とかの可愛い写真だけですよ。そんな人目に触れて危ないようなものは入ってませんよ、スマホには。」
耳とか唇とか首ってパーツ別に撮られるって結構、恥ずかしくないか?
だから、キョーコちゃんがああ言ってたのか………
「ん?スマホには?………お前、最近PC新しく買ってなかったか?まさか、お前………」
そっちには人目に出せない破廉恥なのが………………



そんな事を考えていると、横から背筋がゾッとするあの闇の国の方の地を這うような低い低い声が………
「社さん、そんな訳で………俺のスマホ」
「預かる間は………ずっと、手袋で。」
「………2枚重ねでお願いします。」



担当俳優くんが、お仕事に勤しむ間に俺が預かる事となるその危険物。
キョーコちゃんには悪いけど、クラッシュさせようものならきっと俺に明日はない………



本当、良かったよ。キョーコちゃんがこいつに堕ちてくれて…………
じゃなきゃ、俺の担当俳優は犯罪者まっしぐらだ。





あぁ、胃がキリキリ痛む。
でも、まぁ、おにーちゃんは嬉しいよ?





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↓拍手の600を叩いたと何気なく申告してしまったがばかりに、「ヘイ!お嬢ちゃん、飛んでみようか?」なノリでお題的なものから書くのが好きな猫木にリクエストを強奪されたharuyama-ma様からのリクエスト。


「敦賀さんのスマホのアルバムの中はキョーコちゃんの盗撮だらけだったらいいな」


このリクエストを見た瞬間にタイトルが決まりました。笑
(´艸`)*


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。
壁|д')


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