お素敵サイト『ひまわりの小部屋』のひまわり様から、素敵なプレゼント頂いちゃいました!(((✿ฺ≧▽≦)ノ彡☆
猫木のとこのどえむ、はじめました。に触発されて書いてくださったんです!
うちのオープンたれ流しどえむ蓮さんと違ってエロかわいいよ!!
猫木、どえむ書いてて良かった!!
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『彼と彼女の瞳の奥に見たものとは』
蓮がSMと言うのを初めて見たのは、自称友人が押し付けて来たVDVだった。
その友人は、人気俳優で女性を見れば口説くのが礼儀だと豪語する俳優仲間K。
某テレビ局の楽屋で「そういう専門誌」を読んでいたからだ。雑誌の表紙に『緊縛特集』と大きく銘打ってあり二人っきりの楽屋で痛い沈黙が流れていた。
「・・・・・・・・何、読んでるのかな?」
「え?ああ・・・コレ?」
もしかして、次の役作りの資料かもしれないと取り敢えず聞いてみた。
「緊縛特集だよ。今回だけは見逃せなくてね。」
「きん・・・・ば・・??」
貴島君は何でもないように雑誌を見せてきて笑う。目の奥が怪しく光っているような気がするのは、きっと気のせいだ。きっとそうだ。
「き・ん・ば・く。人を縛る技法が載ってるんだ。」
どちらかと言えば人当たりも良くてソフトな貴島君にこんな趣味があるとは思わなかった。
「別に、実際に人にするとかは無いけど・・・・興味はあるよ。ほら、好きな子ほど苛めたくなる心理だと思えば納得しない?」
「いや、どちらかと言えば俺は甘やかしたい・・・・けど。それに、辛そうな顔や痛みを与えるなんて俺にはできないし・・・・」
「最愛の女性が自分だけのモノって感じで俺はそそるし、与えるのは痛みとかそれだけじゃないんだけど」と貴島君は笑い何かを思いだしたように鞄をゴソゴソと探しだす。
「あ、あった。敦賀君に是非とも見て貰いたいDVDなんだ。」
差し出されたのは所謂AVと呼ばれるDVD。
ご丁寧にパッケジーには女性が縛られて、苦悶の表情を浮かべていた。
貴島君嫌がらせにも程がある。どうやって、彼に報復しようと考えていると「裏見て?裏」と促すのだ。
「・・・・・ねぇ、この子、誰かに似てると思わない?」
「は?・・・・・・・確かに・・・・」
縛られている女性は蓮が愛する彼女が演じている「ナツ」にどこか似ていた。
「それにさ~。こういう世界も知っておいた方がいつか演技に役立つんじゃないかな?」
正しく悪魔のささやき。甘い甘い毒の様な誘惑につい答えてしまった・・・・・。
「借りる…よ」
さて、借りたはいいが蓮は困っていた。
外出中にこんなDVDを見る訳にもいかず、自宅では最上さんが少しの間だが下宿をしていた。
「だるまや」の改築中にコレを借りてしまうとは夢にも思わない。コレの為にホテルに泊まる等、ハッキリ言って嫌だ。
仕方なく自宅の書斎で、彼女ばれないように見る事にした。
自宅に戻り、彼女が帰宅していない事を確認して、もう一度DVDのパッケージを見た。
「どう見ても・・痛そう・・・・これ」
裏側には「初めは嫌がっていただ彼女はいつしか・・・」と何故かこのDVDの前編らしきあらすじらしきものが書いてあった。ストーリーがあるなら前編から貸さなきゃ駄目だよ貴島君と心の中で思った。
どうせ見なければ、色々言われるだろうし・・・知らない世界を見て見るのも勉強だと思い切ってノートパソコンにDVDを入れて音が外に漏れないようにイヤホンを耳に付けて再生ボタンを押した。
ただ、焦っていたのか書斎ドアに鍵を閉めるのを失念していた。
***
「良かった・・・どうやら女の子に苦痛を与えるのではなくて」
どうやら前巻が苦痛系の回だったらしく、今回は特に痛みを伴う様な描写は無かった。
男性がどんどん女性を縛り上げていく。途中、所謂言葉攻めやきつく縛って彼女が羞恥の悲鳴を上げる。下半身に手がかかり結び目がちょうど女性の性感帯に当たる様に調整され、彼女が身じろぐ度恍惚の顔になる。縛り上げた胸は強調されて・・・いや、全て縛り終わった時その縛られた女性の美しさに惹かれた。
縛られる前よりも女性美が強調され、縛る前よりも縛った方が断然いい。
縄が胸の谷間を強調し、蓮の視線は必ず縄があった。蓮がわざと縄を見ている訳ではない。男の視線を考えて縄が身体を伝い男が見て興奮する部分を更に強調している。それが、なんだか新鮮だった。
「いやいや、駄目だろう!こんなのに毒されては!」
だが、一番気になるのは縛られてる女性の表情だ。
縛られる前は怯えと期待、縛られていくと苦痛ではなく悦びを感じている様に感じた。柔肌に縄を直接縛られるのだから痛いはずなのに・・・何故だろう?どうしてそんなに良い顔をするのか?彼女は何を感じているのか?そして、縛られたその先に何があるのか・・・・
「敦賀さん!!何見てるんですか!!!」
いきなりイヤホンを抜かれて驚愕した彼女・・・・最上キョーコがそこに居た。
慌ててDVDを停止させてが、最上さんは驚いて固まっている。こんな、清らか乙女にこんな刺激物を見せてしまうなんて・・・
「敦賀さんがこんなモノを見てるなんて!天が許してもこの最上キョーコが許しません!!さぁ!その手の中のブツを渡して下さい。見事に割ってご覧入れましょう!!」
「待って!落ち着いて!最上さん!!これ、貴島君のだから!」
もし、彼女がこのDVDを破壊したら同じ物をどこかから俺が買わなければいけない。それは、嫌だ。天に祈りが通じたのかブツブツ言いながらも「本当に貴島さんのですか?」と更に念押しされコクコクと頷いた。
「貴島君に無理やり押し付けられたんだ。いつか演技に役立つって・・・・俺にはこんな趣味は無いから!」
「貴島さんのなら、仕方がありませんね。全く、あの方は碌でもないものを敦賀さんに渡すんだから」
そして、彼女は俺からパッケージを取り上げてあらすじ等を読んだ。
「・・・・・・貴島さんはこういうのを見るんですね。いえ、世の男性は・・・・こういうモノを・・・・」
「貴島君だけじゃなくて、他の人にも貸してたみただよ。俺に渡されて、見て・・・・」
蓮は自分が危うくこの世界嵌りそうになっていたことに気が付いた。
あれ以上見ていたらきっと最後まで見ていたに違いない。彼女が来なければ最後まで見れたのに・・・・続きが凄く気になる。あの、女性があれからどうなって・・・・その先の世界を。
「そうですか・・・・。どんな感じでしたか??」
最上さんの言っていることが耳をすり抜け聞き取れなかった。
「敦賀さん?感想は??」
「・・・・感想もなにも最上さんが来たから全然見てないよ」
「ふ~ん・・・・」
実はキョーコは蓮のイヤホンを取る前から蓮の側に居たのだ。その時の蓮の表情は真剣できっと芝居か何かを見ていると思ったら所謂AV・・・・しかもSMのをご覧になっていて。
キョーコだってまさか崇拝する先輩俳優がそんなモノを見てるなんて夢にも思わなかった。
しかし、いつもの敦賀蓮の表情ではなくて・・・唇が渇いてしまったのか舌で舐めて潤す姿がとてつもなく色っぽくて、思わずイヤホンを取ってしまったのだ。でも、キョーコは知りたかった。何故、彼がそんな表所をしたのかを。
蓮は蓮で焦っていた。
感想と言われても何も思い浮かばない。あの映像で印象に残っているのは厭らしい表現でもなくあの女性の表情だった。女性の辛そうな中にも垣間見えた恍惚としたあの表情が気になる。もし、自分があんなことをされたら羞恥心や痛みでどうにかなってしまいそうだ。
・・・・・なのに、あの嬉しそうな表情が忘れられない。縛られたことがないからわからない。縛られたら分かるだろうか…・。縛られた先に何があるのか・・・・・・・。
と、ここで蓮は我に返った。
「俺が縛られたいみたいじゃないか!!」
「へ・・・・??」
蓮は自分自身の突っ込みとして言ったつもりだったが、ここには愛しい最上さんがいた。
これは拙い・・・・・。ただでさえ、マニアックなモノを見てこんな事を言って、彼女の中から「不潔よ!最低!」と汚れた男認定され心の中から追い出されてしまう。
「間違い、俺は縛られたくないからね」
今更、どんなに否定をしようとキョーコには「縛って欲しい」としか聞こえない。
「え~と、敦賀さん・・・そうです!私にも見せてください。必ずや敦賀様のお役に立ってみせます!」
「いやいや、どうして・・・そうなる?」
「では、社さんに敦賀さんが「緊縛師!乱れ華」っていうモノを見てましたってご報告いたします」
「う・・・・・いや・・・・社さん・・には・・・・」
それを言われたら何も言えない。社さんは生活面の事を俺よりも彼女の報告を信じるから。
しかも、思いを寄せてる少女にそんなモノを見ていたことがバレてそれを周りに知られてしまうのは何としても避けなければならない。
「・・・・わかった。後悔しても知らないよ」
「はい!」
蓮は仕方なく了承し、片側のイヤホンを渡し、一刻も早くこの時間が過ぎ去るのを神に祈った。
***
最初から映像が流れ始めて再度確認しても彼女の表情は謎のままだった。縛られている時は痛そうだし苦しそうに顔が歪む。だが、徐々に彼女中に悦びの表情が現れる。やはり、縛られるのはそんなに良いものなのだろうか?どういう魅力があるのだろうか?と映像に見入っているとキョーコがいきなり蓮を突き飛ばした。
「え?も・・最上さん!!」
彼女は何も言わずにイヤホンをパソコンから引き抜き蓮の腕に巻きつけた。
「は?何してるの?」
蓮が腕を動かすとイヤホンのコードは直ぐに取れてしまった。
「いえ・・・敦賀さんが縛られたいって」
「言ってないから!」
「けど、気になるんですよね?アレ・・・」
思わず口ごもってしまったのが悪かった。感の良い彼女が見逃すはずがない。
「ほら!やっぱり気になるんですね!?じゃあ今度私が縛ってあげます!」
「・・・・・・は?」
「だから、今度私が縛ってあげますって言ってるんです」
最上さんが強く言ってくるが何かが違う気がする。普通に考えると男が縛って女が縛られるものだ。
「なら、最上さんが縛られてみる?」
「嫌です。痛そうですもん!」
「確かに痛そう…だよね・・でも、彼女は痛そうって言うよりもなんだか・・・」
パソコンに流れる映像の女性は痛いよりも嬉しい感じが・・・・・する、たぶん。
「やはり、真理の探究者として、敦賀さんが確かめて見てはいかがかと。それに、私がご提案してるんです。敦賀さんは何も悪くないですし・・・悪いのは全て私ですから、大丈夫です!」
そう言われるとそうなのかもしれない。
自分から言い出したわけではない、彼女から言ってきたのだから。しかも、こんな機会もう二度とないだろうし、だったらもう受け入れてしまおうと思ってしまった。
「・・・・・いつ、実行するの」
「・・・・・・えーっと、敦賀さんがモデルの撮影が終わってから・・・・で、いかがでしょうか?」
「そんな後か・・・・・・」
なんだか縛られる事を期待している様に聞こえると気が付いて顔が赤くなる。キョーコもそれに気が付いていたが何も言わなかった。
「私も知識と準備をしたいので・・・・その」
準備がなんなのかはわからなかったが、そう言われたら蓮は頷くしかなかった。
「それでは、私明日の撮影の準備がありますので自室に戻ります!貴島さんにちゃんと返してくださいね!!」
キョーコは足早に書斎から出て行った。
***
キョーコは与えられた部屋に戻って考えていた。
敦賀さんのあの目は確かに縛られてる女性を見ていた。縛られた女性は確かに苦痛の中にもどこか悦びのような表情を浮かべていたのはキョーコにも分かったし敦賀さんも夢中になって見ていたのは明らかで。でも、だけど、まさか・・・敦賀さんが縛られたいと思っていたなんて思わなかった。
しかも、あの時の凄い否定をしていたが、あの目は明らかに期待している目だった。普段は決して見せないその目がゾクリとした。自分しか知りえない、彼の一面。
心の奥底に仕舞いこんだ恋心。
1人の女として天上人の先輩俳優敦賀蓮がいつの間にか好きになっていた。二度と恋をして愚か者になりたくない、傷つきたくない。そんな思いも彼への抑えられない想いには叶わない。
唯の後輩女優として居心地の良いこの距離が好きだ。後輩ならいつまでも側にいられる。食事や家事全般を任せられる様になってからは一気にその距離も近づいて、誰にも見せない姿を見たいと思うようになった。
所謂、独占欲と征服欲。
屈託のない笑顔は勿論、世間一般の人間が見る事の出来ない・・・闇に怯える顔、泣き崩れる顔、快楽に歪む顔・・・きっとどれを見ても彼ならば美しいと思えた。自分以外が見る事の出来ない「敦賀蓮」を手に入れたいと。
キョーコはこの暗くて冷たい歪んだ感情を隠してきた。この持て余した気持ちを解消することなど出来ないと思っていた。だから、あの時思わず「縛ります」などと言ってしまったのだ。敦賀さんの為ではなく本当は自分自身の為に。
敦賀さんがあのDVDを見ていた時の表情が忘れられない。
唇を無意識に舐めとる色っぽい仕草。あの時あの映像を見て何故敦賀さんがあんな表情をし、何を期待したのか。もし、また見れるのならあの顔を見たい。
見れる機会を作るのならば自分が彼を縛ってみるしかないと咄嗟に思ってしまった。
そして、まさか了承してくれるとは思わなかったのだけど。
キョーコは急いで資料を取り寄せるべくパソコンを開いた。
敦賀さんはモデル、俳優・・・・傷が、跡が付かないようにと。
取り敢えず今は明日の仕事をちゃんとこなしてからと、全ては、それからだ。
***
「貴島君、これ返すよ」
蓮は某局の楽屋でDVDを渡した。貴島君は鞄に仕舞いながら聞いて来た。
「全部見た?」
「最初のところでもう、諦めたよ・・・・・」
彼女とも最初からあの縛りの場面しか見ていないし、彼女が自室に戻っても見る気がしなかった。
「じゃあ・・・・、醍醐味は分からないままかぁ~」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
敦賀君の不思議な沈黙が気になって貴島は黙って何も言わない事にした。
「・・・・・あのさ、縛るのってどうやるの?」
「へ??敦賀君キョーコちゃんを縛りたいの?」
「いや、ちっが・・・、そう言う事ではなくて・・・・なんて言えばいいのか。」
「ふ~ん。敦賀君も遂にこっち側の人間になったってことか。歓迎歓迎!」
「貴島君!そんな風に解釈しないでくれ!!」
貴島君の暴走に付き合わされるほど俺は無謀じゃない。
ただ、溜息を一つ吐いて「少し興味が沸いた」と言った。
「やっぱり!敦賀くんならきっと分かってくれると信じてたよ!」
ポンポンと肩を叩く貴島君にやはり、言うんじゃなかったと後悔してももう遅い。
「分かるも何も、最初しか見てないから・・ね」
「うんうん。最初の縛りが良いんだよね~。あ、でも敦賀君の前に借りた奴前巻の方が良いっていてたよ。」
貴島君がそういう系の話を熱く語り始めたのを諦めの境地で聞いていた。
つづく←??