パラレルですよ。

前の話まで書いて寝て起きてみたら、再会したけど会ってるだけだよね!ダメじゃね?って、思ったのでなんとなくぽちぽち。

いつまで続けるかわからないけど、タイトルを続から数字付きに変えてテーマも作ってみたりしたりしてます。


✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ




ちょっと憂鬱になってしまう雨の日。
バイトから帰って門扉を通った瞬間に大きな影がふたつ、私を抱え上げてきた。
手から離れた折りたたみ傘の代わりに見えたのは、金と黒の雨に濡れた艶やかな髪の色。


「キョーコちゃんキョーコちゃんキョーコちゃん!会いたかった!会いたかったよ!!」
「キョーコちゃんキョーコちゃん!キョーコちゃんの匂いがする~!」
ふたつの低い声がはしゃいで跳ね回る。
右と左からぎゅうぎゅうと巻き付く腕に持ち上げられてしまって足先は完全に宙に浮きっぱなし。
首すじに埋まる雨に湿ったさらさらの髪とすんすんとなる鼻先がくすぐったい。
「やん!……蓮っ!久遠っ!くすぐったい!匂い嗅ぐのやめてっ!!」
あまりの事に少し目が回りそうになったけど、自然に口からするりと昔のおとなりのわんこっぽい男の子たちの名前が零れた。


私の首から離れた頭。緑と黒の瞳がこちらを覗き込んだ瞬間にどきりと心臓が跳ねた。
そこにいたのは、かわいいわんこの面影をあまりにも感じさせない、整った精悍な顔つきの美貌のひとたちだった。
(うわぁ………昔はかわいいとか綺麗だったけど、今はかっこいいとか男前って感じ。)
と、そう思ったけど………にぱぁと笑み崩れたその笑顔は昔のかわいいおとなりのわんこを彷彿とさせるには十分なそれだった。


「久遠も蓮も髪が冷たい。いつから外に居たの?風邪ひいちゃうから、とりあえずうちに入ろ?」
両手を上げて黒と金の髪を撫でてあげると、2対の目が気持ち良さげに細められる。記憶の通りにさらさらの指通りの良い髪の毛。
「大変だ、キョーコちゃんが濡れちゃう!」
「風邪ひいちゃう!さ、行こう?」
すとんと地面に降ろされた。
流れるように久遠が落ちた折りたたみ傘を拾い、蓮が肩に掛かってた鞄を持つと両側から肩と腰に手がまわされ家にエスコートされていた。






「キョーコちゃんちあんまり変わってないね。」
「凄い懐かしい感じがする。」
招き入れたリビングをきょろきょろと見回すふたりを置いて、ランドリールームからタオルを取ってくる。
「はい、これ使って」
と、ふたりに差し出したタオルは何故か雨粒の光るふたりの髪ではなく、ちょっと湿った私の髪や首を両サイドからぐしぐしと拭う。
「俺たちなら大丈夫だから、キョーコちゃんのが先。」
「そうだよ。せっかく傘さしてたのにごめんね?」
頭を拭うタオルの間から見上げると心配そうなふたりの顔。その顔の位置の高さに思わず
「ふたりともほんとに大っきくなったね」
と、つぶやくと
「だって、あっちに行って5年もたってるからね。ほんとに寂しかった。」
「ほんと、5年長かった。キョーコちゃんに会いたかった。」
髪の水滴を拭っていたタオルとふたりの大きな手が肩に落とされた。
ふたりの顔が近づいてくる。


「「ただいま、キョーコちゃん。」」
そんな台詞と共に、左右のほっぺたにふにっと暖かくて柔らかな感触。
それは、ちゅっと小さなリップ音を残して離れた。


ほっぺたにちゅーされた!?
理解すると同時に頬が熱くなるのを感じて、無意識のうちにそこを手でおさえる。



(た、ただの挨拶!帰国子女の挨拶だから!!そ………それに、わんこ!わんこだから!ふたりはかわいいわんこっぽい弟みたいなものなんだから!!)
赤くなってるだろう両頬を隠し、そんな事を言い聞かせるように思いながら、目の前でにこにこと笑うふたりを見上げていた。






心臓がドキドキして壊れそうだった。









続いたりするのかもしれぬ。


✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ



女子高生なキョコちゃんと二つ下のわんこたちって感じで書いてみたりしております。

かわいい感じを目指してみたわんこたち………中身を仔犬のままにするか腹黒い狼にするか悩み中です。
どっちにしようかな?(´Д` )? 







web拍手 by FC2