猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつとなっております。


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綺麗な人が寝ていた。
長い睫毛、筋の通った高い鼻、形のよい唇。
寝顔までずるいくらいに綺麗………眠れる森の美女みたい、男の人だけど。


そんな事を考えてたら、伏せられていた切れ長の瞳が開いた。
その眼に、情けないような顔した私が映ってる。
どうしよう?なんにもなかったみたいに普通に挨拶すればいいの?と考えていたら、敦賀さんがふにゃりと笑った。
その笑顔があんまりにもかわいくって私もつられたように笑う。




「………夢だな。キョーコちゃんが一緒に寝て笑ってる。」
敦賀さんが私を見ながらそんなことを言い出した。
「ねぇ、キョーコちゃん?どうせ夢なんだからキョーコって呼んでもいい?」
「…………え?」
「やっぱりダメ?キョーコちゃんのことキョーコって呼んでもいいのはキョーコちゃんの王子様だけなんでしょ?俺はキョーコちゃんの王子様になりたいんだ。」
目の前の出来事が、敦賀さんが言っていることの意味が飲み込めず理解が追いつかない私を置き去りにしたまま敦賀さんが続ける。
「やっぱりこの声じゃ………俺じゃ、呼んじゃダメ?お仕置きにしか思えない?」
そんな話したのは、グアムで会ったコーンとだけで………でも、今、隣で横たわってるのはどう見ても敦賀さんで………
「キョーコって呼べる男になりたい………ダメ?」
そう言って眉を落として首を傾げた敦賀さんは…………カイン丸なアサシン!!
そんなの否定なんて出来るわけなくて………
「だ、めじゃ……ないで…すよ?」
と、そうつぶやいていた。
「ほんと!?嬉しい!嬉しいよ、キョーコ………キョーコ、キョーコ」
私の名前を呼びながら敦賀さんがぎゅうぎゅうと私を抱きしめてくる。
………苦しくて息が出来なくてわたわたと抵抗していると………




「あれ?消えない………いつも、いいところで消えちゃうのに…………もしかして……………」
恐る恐ると言ったふうに覗き込んでくる敦賀さんに『どういうことか洗いざらい白状してください!』と眼で訴えながら
「敦賀さんがコーンなんですか?グアムで会ったコーンは敦賀さんだったんですね?」
と言い募る。


おたおたとした敦賀さんが言う。
「………お、落ち着いて、最上さん。」
それを聞いて……………悲く、寂しくなってしまった。
しゅんとしてしまった私を心配して敦賀さんが声をかける。
「どうしたの?最上さん………やっぱり、怒ってる?」




「だって…………最上さんって…………キョーコって呼んでくれない………」









その日、無遅刻キングな敦賀蓮にはありえないほど仕事へ行かなきゃならないギリッギリ時間まで………私をその腕に捕まえてキョーコと呼び続けていた。
「敦賀さんっ!!遅刻しますよ!離してください!」
なんとかたどり着いた玄関で送り出そうと奮闘する。
「……………まだ全然キョーコって呼び足りない。」
「十分呼んでいただきましたから!」
ええ、それはそれは顔面がゆるゆるに緩んで崩壊するほどに………
「じゃぁ、今夜もここに帰って来ていい?」
そんなことを言いだして………それは……嬉しいけど、スキャンダルになったりしたら………とか、考えてたら。
「ダメって言われても攫いに来るからね?いってきます。」
軽いキスを落として敦賀さんが出て行ってしまう。



途端、なんだか寂しくなってしまった部屋で私は、彼が帰って来たら彼を苗字じゃなくて名前で呼んでみようかな?と、考えていた。






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3つ目の敦賀さんは、壊れたってより寝ぼけて油断した蓮さんだな。(´Д` )
さーて、まだ続けて行くぜよ。

たぶん、明日は壊蓮さん………に、なってるといいなぁ。



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