この娘を前にすると感情の制御がきかない。
前から解ってはいたが……俺を拒絶する彼女に追い込まれて、このままこの部屋に彼女を監禁して無理矢理に抱いてやろうと……そう思ったのに、気が付いたらキョーコの心変わりを詰問するかのようにあの朝のキョーコのつぶやきを問い詰めてた。




「ふぇっ………はなしって………ふぇぇ…」
キョーコが耐えきれないとでも言うように急に泣きじゃくりはじめる。小さな子どものように。
「しあわせ…だった…のに……あい…されてっ…るって……おもっ…のに…ため息、ついてたもん………つっるが…さん…あさ、ダメ息ばっかで………だきしめても……くれな…ぃ」
あの朝の俺のため息を詰りぼろぼろと泣く。


幸せ?愛されて …?ため息、俺が……朝………抱きしめてくれない?
あの朝、キョーコは起きていた?
俺のはいたため息を……聞いて……ダメ息?後悔してると……拒絶と受け取った?
俺に愛されて幸せだったのに、俺がため息ばかりで抱きしめなかったから………だから、恋の終わり?
そうだ、この子は自分に自信がなくて何でもネガティブに受け取るんだった………。
俺が………この子をこんなに追い詰めた。抱きしめなかったから泣いてる。
そう、理解するともう。


キョーコの顔、眉が辛そうにぎゅっと寄って、涙でぐずぐずに濡れて…………あぁ、きみはなんだってそんな顔まで………こんなにも愛しい。 


どうしようもなくなってしまった俺は、キョーコをぎゅうぎゅうに抱きしめていた。
「いやぁ………も、やなの……ほかのひとの…かわりは…やな…の」
他の人?まだ誤解がありそうだ………。
けど、その誤解を解くその前に
「ごめん………ごめん。俺が、不安にさせた………ごめん」
キョーコをこんなにも悲しませて泣かせてしまったことを詫びた。
キョーコに愛されているという喜びに身を震わせながら。




「ごめんね………俺が、俺のため息が君を誤解させた。ちょっと………かっこ悪いけど、隠さずに全部話すから聞いてくれる?」









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