共に居るのが辛くて、でも1人じゃいられない。
独占は孤独を呼び起こす。
あぁ、私は一体どうすれば良いのだろうか?
※
「ふぅ……どうしたものだろうか……」
私はこの数時間ずっと考え込んでいた。
この家の吹き抜けの二階部分から下の階を覗き込んだまま。
ココに来てからアイツに会って、そしてアイツが1階に倒れている。
倒れたまま動かない。
きっと死んだ。
確かめては居ない。
いや、確かめるのが怖い……
きっと私のせいだ。
だが、アイツが悪い。私は悪く無い。
アイツが言った。
「お前はどうせ私にへつらうしか能が無いだろう?」
私が応える。
「へつらう?私がお前に??」
アイツは重ねて言う。
「違うって言いたいかい?ククク……」
私は何かがカツンと切れる感覚をおぼえて言葉を吐き出した。
「お前に何が分る……そうだ、お前に私の事がわかってたまるか!」
そこから自分がどうしたのか……自分の行動が思い出せない。
ただ、気がついたらアイツが1階に居て、私が2階に居た。
「多分、いや……どう考えても私がやったんだろうな……」
そっと見下ろす私は、スグに確かめてみれば言いのにもかかわらず、その場から動けずに居た。
※
私は……ボンヤリトした赤い景色の中、自分がまだ生きているのだと言う事だけが分っていた。
私はアイツに私から離れて行って欲しかった。
嫌だからじゃない、アイツの事が好きになってしまったから……
自分から言い出したことなのに、私はアイツになんてことをしてしまったんだ。
こんなつもりじゃなかった。
こんな事になる為に突き放したんじゃなった。
だからこそ、私は償う為にもう一度……もう一度。
※
ゆらりと1階でアイツの体が揺れ動いた。
「あぁ、なんだ……生きていたのか」
フラフラと壁や手すりに掴まりながらアイツは階段を登り私のところへとやってくる。
「ヤバイ……」
私は思った。アイツはきっと私の事を責める為に傷だらけの体を引き摺ってココに来ようとしている。
そして……
目の前にアイツの体がやってきて、アイツは私をすり抜けた。
「え……?」
※
体中がきしみ傷む。死に損ないの体だから仕方が無い。
階段を登りきれば私の目にはアイツの肢体が映りこんだ。
床に倒れ、もう息をしていないアイツの体。
「すまない、私がお前を殺した……」
※
アイツの視線の先には私の体があった。
アイツが呟いて私はアイツをハッと見た。
「死……死んだ?私が……」
良く見てみれば私の体はうすボケていて、アイツには見えないようだった。
私は私の体を通り抜けていったアイツを見て力の限り叫んだ。
「待て!私はココにいる!!」
※
吹き抜けの手すりに足をかけたとき、アイツの声がした様な気がした。
何を言っているのかは分らなかったが、アイツはきっと私を呼んでいるんだ。
「……分っている……すぐそちらに行く」
※
「違う!!」
アイツに向かって手を伸ばした私の揺らめく体はアイツと重なり、アイツの中へと溶け込んでいく。
※
今まさに再び1階へと飛び降りようとした時、私はアイツの香りに包まれた。
アイツに抱きしめられているその感覚に私は動きを止めた。
※
1つになった気がした。
1つになれた様な気がした。
アイツの中にとけて行くような。
アイツがとけ込んで来るような。
1人でありながらも1人じゃない……やっと結ばれた。
そう、これからも2人で生きていこう。
~~~【一人称】 End