重い鉄の扉の中側は、キッチン兼住人のたまり場のようでした。
私は大家さんに部屋へ案内されると、すぐさまキッチンへ向かいました。
たむろしているのは5人くらいで、全員ナイジェリア人でした。
あいさつをすると、彼らは自己紹介をしてくれました。
空手の留学で来た。
車関係のビジネスで来た。
料理の勉強に来た。
布教活動で来た。
「いやあ、皆、確かな目的を持って日本に来てるんだなあ」とそのときは感心したのですが、
後に真っ赤な嘘だということが分かりました。
彼らの一番の目的は「日本長期滞在の権利」でした。
分かりやすく言えば、日本人女性と結婚するということです。
その際、実際に会った事のない人と結婚することが多いようです。
きっと、そういった女性は借金がたくさんあって、「偽装結婚すれば借金減らしたる」とか言われてんじゃないでしょうか?
とにかく、蓋を開けてみれば、ナイジェリア人はほぼ全員〝不良外国人〟で、少しでも長く日本でバイトして、金を稼ごうという人ばかりでした。
そういう悪い事をしていても、彼らは実に陽気に私に接してくれました。
ナイジェリア料理を作ってくれたり、ビールやタバコを買って来てくれたり、一緒に騒いだり、男色の道へ誘ってくれたり(もちろん断りました)・・・。
ですから、「ナイジェリア人が悪い事をした」というニュースを聴くと、未だに心配してしまいます。
彼らはまだタイヘイハウスにいるのでしょうか? それとも監獄でしょうか? はたまた母国へ強制送還されたのでしょうか?
まあ、どこにいても相変わらず陽気に暮らしているんでしょう・・・。