シンガポールに本店がある四川料理店。23軒もテナントが入居する新丸ビルの5階とは趣を異とし、6階は店舗数わずか6軒で、エレガントで高級感が漂うレストランが多い。この四川豆花飯荘 も比較的高級路線の一軒だ。
ランチのセットは麻婆豆腐セット(1,500円)と坦々麺セット(1,600円)のほか、コース料理(三千~五千円)も用意されている。高級なお店なので接待や会食の客が多く、昼時でもコースを注文しているテーブルが結構多かった。こちらは日常のランチで自腹なので、セットメニューから坦々麺を注文。この店では、どれをオーダーしても名物「八宝茶」(294円)が自動的にセットされてくる(その旨がメニューにも書かれている。断れるのか不明)。このため、ランチでもしっかり請求されるサービス料も含めると坦々麺に2,142円も払うことになる。
八宝茶はジャスミン茶を基本として、紅なつめ、クコ、菊花、氷砂糖、百合根、龍眼、クルミがお茶碗の中に入っており、ここに優に1mはあろうという注ぎ口の長いやかんから茶器に直接お湯を注ぐパフォーマンスがひとつのウリになっている。氷砂糖が入っているため、ほのかに甘く美味しい。294円の代金はパフォーマンス代だろう。

セットの内容は坦々麺に小ライス、四川ワンタン、漬物、杏仁豆腐である。肝心の坦々麺は、辛口の評論で有名な友里氏も2007年の上半期ベスト10 の中でこの店を取り上げて「それほど辛いもの好きでなくても食べられます」としているが、やはり辛い。本場の「辣」とは、こういう味なのだろうか。しかし、単に辛いだけではなく、胡麻ベースのスープは複雑な味で、コシのある麺と絡んでとても美味しい。また、中華料理店なのに、焼肉店のような紙エプロンを用意してくれているので、スープが跳ねることをあまり気にせずに坦々麺を堪能できる心遣いもうれしい。
激辛のスープで痺れた舌をやさしく癒してくれるのは、クリーミーでとろけるような杏仁豆腐。これも美味であった。日常使いには高級なお店であり、普段使いには向かないかもしれないが、優雅な雰囲気の中で食す四川料理はなかなか美味しい。懐に余裕があるときにコースで辣以外の味も堪能してみたい。
四川豆花飯荘
東京店東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング6F
03-3211-4000