司法試験、「予備試験」通過者は合格率68% | 今日も花曇り

今日も花曇り

読んだ本や考えたこと、仕事について。

9月11日は司法試験の合格発表でした。合格された皆さん、本当におめでとうございますクラッカー

ところで昨日、お昼を食べにモスバーガーに入ったら、置いてあった読売新聞にこんな記事がありました。しかも1面トップ。新聞が司法試験にそんなに注目していたなんて知らなかった。

司法試験、「予備試験」通過者は合格率68%

・・・「法科大学院修了生の合格率が24・62%にとどまる一方で、法科大学院を修了しなくても受験資格が得られる予備試験を通過した受験生は68・23%と高い合格率を記録した。構想段階で7~8割の合格率が想定されていた法科大学院に対し、一層失望感が広がる可能性がある。」・・・

法科大学院不要論がこうした記事に勢いを得るのは想像に難くありません。法科大学院は制度として問題があり、改善してほしい点は多々あります。ただ私は、記事のような見方が(恣意的にかどうかはわかりませんが)暗に設定する前提には、賛成できません。

それは、法科大学院での教育の成果は司法試験の合格率ではかることができる、という前提です。

司法試験に受かるかどうかは、はっきりいって、法科大学院の勉強とあまり(ほとんど?)関係ありません。司法試験で要求されるのは法的思考力というよりは、相当高度な事務処理能力なので、私のような凡人はしっかりとした「試験対策」をしなければ、到底合格できません。

そういう意味では、合格率1.8%という超難関の予備試験を突破した受験生が極めて優れた事務処理能力を有していることは明らかですし、法科大学院のカリキュラムにも縛られずに試験対策に専念できるのですから、法科大学院修了生の平均を上回る合格率だったことは当然ともいえます。

しかし、法科大学院と新司法試験は、まさに旧司法試験が「試験対策」に莫大な労力を投入しなければ合格できない試験になってしまった事態を打開するためにできた制度です。法科大学院自体はそうした試験対策をするように設計されていませんし、理念としては、する必要はないと思います。

法科大学院を司法試験合格率で評価するというなら、最も優れた法科大学院は一切講義もせずに2年ないし3年間受験勉強だけさせる大学だということになりかねません。でもそれは、明らかにおかしな議論です。

法科大学院は不要だというのであれば、司法制度改革において指摘された旧司法試験の問題点は、現在ではどう克服されたのか、克服されてはいないが新司法試験よりましだというのか、それとも、そもそもそんなものは問題ですらなかったのか、そこをきちんと議論してほしいと思います。

私は法科大学院の2期生です。法科大学院がなければ、社会人純粋未修の私など、法曹になるのはまずムリでした。法科大学院は不要だという意見は、私にとっては、本来おまえは法曹になるべき人間ではなかったのだ、と言われるのに近いのです。しかし、そんなことはない!と、ささやかな誇りにかけてやはり言いたいです。

法科大学院と新司法試験には、まだまだ言いたいことはありますが、問題点を徹底的に改革して、社会人や未修者が十分な見通しをもって勉強できる制度になってほしいと思います。