画像が悪くてちょっとわかりづらいんですが、今回は静脈ポートについて。

資料の丸写しですが、がんばって書きます(笑)



静脈ポートとは


抗がん剤などの注射を簡便かつ確実に行うために皮下に埋め込んで用いられる、

カテーテル(注射用の管)の付いた器具のことです(図1~3)

体の表面の血管が細く点滴が困難な患者さんや、

長時間の抗がん剤治療が必要な患者さんに用いられます。



あおのブログ  

図1 静脈ポート  図2 針を刺したところ   図3 静脈ポートの断面図



静脈ポートは、左右上腕の内側、あるいは左右胸部(鎖骨下)に埋め込まれるのが

一般的です(図4、5)。ポート部(丸く膨らんだ部分)につながっているカテーテルは、

血管の中を通って心臓近くの太い静脈(中心静脈)まで達します(図4)。



あおのブログ  



図4 静脈ポートの留置例  図5 皮下に埋め込まれた静脈ポート  図6 静脈ポートを使って点滴している様子

                            


注射をする時は皮膚の上から専用の針を使ってポートを穿刺(せんし)し、点滴を接続します(図6)。

注射が終わればヘパリンという血液が固まらないようにするための薬を注入して針を抜きます。


(長期間使用しない場合も、カテーテルの閉塞予防のために、

少なくとも4週に1回ヘパリンを注入する必要があります。)



静脈ポート留置に伴う利益


・確実に点滴ができる

 ほとんど点滴を失敗することがありません

 ほとんど薬が漏れることがありません



・点滴の痛みが軽減される

 針を刺す時の痛みはありますが、薬が血管を流れることによる痛みはなくなります



・長時間の点滴が可能

 長時間の点滴をしても血管が痛むことがありません

 自宅で抗がん剤治療の継続が可能です




静脈ポート留置に伴う不利益


・静脈ポートを使用中に合併症が生じる可能性があります。



30人に1人程度で生じる可能性があるもの

 感染症(化膿する・熱がでる)、血栓症(血管の中で血が固まる)、

 血管外漏出(薬が皮下に漏れる)、カテーテル先端異常



50人に1人程度で生じる可能性があるもの

 皮膚刺激・疼痛、カテーテル閉塞(詰まって使えなくなる)、

 ポート膜損傷(針を刺すところが傷む)



100人に1人程度で生じる可能性があるもの

 ポート部翻転(ねじれる)、神経圧迫、創部離開(傷が開く)、

 皮膚穿孔(皮膚が薄くなって破れる)



・静脈ポートを留置する手術の際に合併症が生じる可能性があります。



100人に1人程度で生じる可能性があるもの

 心房細動(不整脈)、皮下出血、動脈誤穿



その他

特に鎖骨下静脈からカテーテルを留置する際には、

気胸(肺に穴があく)、ピンチオフ(カテーテルがちぎれる)という

合併症が生じることがあります(頻度100人に1人未満)



・静脈ポート留置には局部麻酔による手術を要します。

・静脈ポート留置部の違和感

・静脈ポート留置部の審美性

・静脈ポート留置部に伴う痛み

・費用



・静脈ポートは種々の合併症により、約10%の患者さんで1年以内に

 使えなくなることがあります。(外来化学療法部 平成19年11月調べ)



・静脈ポートそのものは専用の針を使えば、

 約1000回の穿刺に耐えられるように作られています。