クリクリのいた夏 | ナイト・オン・ザ・プラネット

クリクリのいた夏

初めて物心がついた4歳の頃の思い出、一番大切な思い出であろう一年をクリクリは振り返る。父やその友人達、その周りを囲む人達の思い出を・・・

物語は歳をとったクリクリがストーリーテラーとなり、思い出深い昔話を語る形にはなっているが、語りが入るシーンはかなり少ないので、思い出の世界がメインストーリーで、どちらかというと主人公は沼地に住む男ガリスのほう。もちろん登場人物の一人として幼いクリクリも登場する。なぜ、思い出深いかは。。。

舞台は町はずれの沼地。そこはほとんど自然のままで家やちょっとした庭のようなスペースがあるだけ。住人はクリクリの家族と独り者の男ガリスのみ。自然の恵みを糧にして日々を自由に生活している。
戦争に疲れて流れ着いたガリスは、元々住んでいた老人が縁で住み着く。いつかは出ていこうと思っているが、今のところは少し頼りない友人家族が気がかりで沼地にとどまっている。
いつも行動を共にするのがその頼りない友人、クリクリの父親リトン。彼はちょっと考え足らずでルーズなところもあり、トラブルメーカーでもあるが、どこか憎めない男。
彼らを中心に、町に住むちょっと上品で気の弱い友人や、元沼地に住人であり今は成功して町に住む老人や、その隣の家に住む品の良いおばあさん、ガリスが恋をする大きな屋敷でメイドするブロンドの女性、リトンとのトラブルで刑務所に入りライセンスや財産を失ったボクシングチャンプなどの人達との交流が描かれる。

自然の中で、その恵みを味わいながら時間の流れにあまりとらわれない生活を送る人達、その中でのびのび育ったであろうクリクリの思い出の世界をのんびり楽しめる映画。

カエルつりのシーンやエスカルゴ取りのシーンなどは、いい大人が少年に戻ったよう。
クリクリとある少年の出会いもかわいいシーンのひとつ。
フランスでも生活と自然が共存した世界はもう珍しいのかな?個人的にはおばあさんの家で休憩でお茶をするシーンも、場の雰囲気が気に入っている。
一度、こんな生活をしてみたな~なんて思いますね。。。


05.03.17 映画館

監督:ジャン・ベッケル
出演:ジャック・ヴィユレ:リトン/ジャック・ガンブラン:ガリス/マルレーヌ・パフィエ/他