傀儡  『魂殻』  | NEOS 2nd

傀儡  『魂殻』 


京介は記憶が消えていた・・・






目の前には、優しい顔をした、千佳がいた・・・





京介の手は、千佳の首にあり、千佳の目からは涙・・・




千佳の胸元には、京介の涙が落ちていた・・・











『うぉぉぉぉぉ・・・』









千佳にしがみ付き 









『我!最強なり!!』







『我!最強なり!!』





『我!最強なり!!』





何度も呪文を唱えた・・・









全く動く事のない・・千佳・・・














『ちぃぃぃ・・・』













何度も何度も記憶を辿った・・・









千佳を抱きかかえ人工呼吸・・・









「もしかしたら・・・・」










そう思って病まなかった・・








心臓マッサージ・・・ 




色々な事を繰り返した・・・











『ちぃぃ・・ ちぃぃぃー』









京介は千佳の胸元に崩れ落ちた・・


















「心臓の・・音・・・が・・・聞こえない・・」


















現実を理解せざる負えなかった


















部屋の壁には、京介の写真・・・  








二人のデートを日を記したカレンダー







そして、大事に飾られている






カクテルドレス








全て、千佳の願いや想いに感じて病まなかった・・・










『俺は・・・なんて事をしてしまったんだ・・・』















世界でたった一人のちぃ・・が死んだ・・・・










そして、世界でたった一人の京介が泣いた・・・













暫くの間、京介は千佳の傍を離れる事が出来なかった・・・




蘇る記憶・・・  



狂った現実・・・











千佳の誕生日・・京介は自らの手で・・・ちぃを失った・・・










「これが・・・幸せなのか・・・ ちぃの望んだ結末なのか・・・」





「そんな訳は無い・・ 全て悪いのは俺だ・・・」




「だが・・もう遅い・・何もかも・・・・」












京介は 朝まで千佳に本音の話をし続けた・・・







「あのな・・ちぃ、俺はほんまに悪い男や・・・お前を利用したんだ・・・」







「俺と出会わなければ、お前は普通に生活をし、普通の幸せに出会っただろうな・・・」







「死ななきゃならないのは・・・俺のほうだった・・」






「ドレス・・似合っていたよ・・・」







「可愛くて・・・すて・・・素敵で・・・愛しくて・・・あい・・・愛していた・・・」





「なのに・・・」








京介は、完全に生きる気力を失っていた・・・
















「天国に・・・・(強着)♪」











『・・・誰や・・』





『琴菜・・です・・』





『どないしたん・・・』





琴菜は、京介の気力の抜けた声に違和感を感じた・・






『ゆなさん・・・意識を取り戻しました・・・話が出来るまでに・・・』





『そうか・・・』





『嬉しくないんですか?』






『・・・ なぁ、琴菜はん、死んだ人間が生き返る方法は無いか・・?』







『京介さん!ゆなさんは死んでいませんよ!』







『・・・そう・・やったな・・・すまん、暫く行けへんと思う。面倒見ててくれ、それと・・ゆなによろしく・・・』







『どうしたんですか?何かあったんですか?』






『うるせぇ・・・お前はお前の役目を全うしろ・・・』








京介は電話を切った・・・









「ゆなが・・・戻ったか・・・・」







京介は、「ゆな」「てんてん」の起用を躊躇した・・・








「ちぃ・・・悪いが・・・もう少し待っててくれな・・・」









京介はジャニスに電話を入れた・・・




「プルルル・・・」




『はい、』




『ジャニス・・・例の部屋、空いてるか?』




『ええ・・ 何かありましたのですね・・・』




『あぁ・・・』





『お待ちしてます・・』








京介は千佳の身体を、丁寧に拭き始めた・・・




身体全体を拭き  



新しい下着を身に付けさせ  



ドレスを着せた・・





心なしか、千佳が喜んでくれているように感じた・・・





そして、千佳を背負い「HEAVENS  CAFE」へと向かった・・・




ウエディングドレスを着たままの千佳を背負い歩く京介の姿は異様な光景だった






「何事が起きたの・・・?」




そんな目で街行く人は二人を見た










「カラン・・・」







『京介さん!どうしたんですか?』




『とりあえず座らせてくれ・・・』





VIPルームに入った。





京介は無言だった





『遅かれ早かれ迎えた結果かもしれませんね・・・・』





『ジャニス・・・ ワシが 殺ったんや・・・』




『京介さんが?』




『あぁ・・』






『京介さん部屋の準備は出来ますが、そこで何をするつもりですか?』





「死んでしまった、千佳の体をどうするつもりなのだ?」






『ジャニス・・・ 無理だとは思うが生き返らせることは出来ないか・・・』






『それだけは・・・』





『だよな・・・』






『大きなガラスケース・・・ そして冷却装置を準備してくれ・・』





『・・・保存・・・ですか・・・』





『そうだ・・』







『それで・・京介さんが癒されるのですか?』





『癒される事は無いだろう・・・ただな・・残したいんだ・・・ちぃを・・・』








ジャニスは直ぐに手配をした・・・






ジャニスは千佳を見た・・・






『最後は・・・本体だったようですね・・・』






『あぁ・・』






『京介さん、少し休まれてはいかがですか・・・ここで良ければ何時間でも・・・』





『そうか・・・ちぃと一緒に、ここで休ませて貰う・・・』






ジャニスは、ここまで落ち込んでいる、京介を見るのは初めてだった・・・





今までに数体の傀儡を作り上げた男が、傀儡に取り込まれた瞬間でもあったように感じた・・・




「X」が、その姿を見て言った・・





『京介さん・・完全に堕ちてますね・・・大丈夫でしょうか・・』




『京介さんは・・・強いお人だ・・・、今はそっとしておくのがいいだろう・・・』







それから数時間後、京介は眠りに付いた・・・






夢の中・・・





京介は千佳といた・・・





何も語らずに、花を積む千佳の姿を遠くで見ていた・・



ウエディングドレスを着て、一面の花畑を歩き、その先には教会があった・・




両手に花を沢山持った千佳が教会に走った。





教会の所には、白いタキシードを着た京介が居た・・




二人は抱き合い



キス・・




幸せそうな二人・・・





その姿を見ている自分は、それに背を向けるように離れていく夢だった・・・







「はっ・・。」






「夢か・・・」






「コンコン・・」





『京介さん、大分寝られてましたよ・・』




『そうか・・・』




『例の頼まれていたものが、揃いました・・』







京介は千佳を背負い、頼んであった部屋へ行った。





『ジャニス・・・ちぃをこのガラスケースに入れて、周りは花で飾ってくれ・・・そして冷凍で保存だ・・』






『ドレスを着せたままですね・・』





『そうや・・・』








数時間後




大掛かりな装置を付けたガラスケースが出来上がり  




そこに、千佳を入れた





周りには沢山の花を敷き詰め、夢で見た幸せな気分で居てもらえるようにした・・





『ジャニス・・・いつの日か技術が発展し、この保存方法で生き返る・・そんな事があるとしたら・・・』





『私達の生きている間は・・・』




『それでもだ・・・』




『分かりました・・』







冷却装置は、足元に付きガラスケースはその上に取り付けられた



立ったままの姿の千佳・・・ 



目を瞑り・・・



手に花を持ち・・・





その姿を目に焼き付けるかのように・・・



京介はその場を離れれなかった・・・






数日間・・・京介はそんな事を繰り返した・・・