人工衛星と大酒飲み | 謎のエンジニアのブログ

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なぜか宇宙関係に詳しいが、それ以外の分野もそこそこ知っている機械系エンジニアです。色々な事に文句が多いが、前向きな提案も心がけています。

宇宙飛行士が無重力空間で水の玉を空間に浮かせて
飲むシーンて見たことがある人は多いですよね。

重力がないと液体は玉状になって、ふわふわと浮いています。

実はこれはとっても不便なことがあるのです。

人工衛星は燃料を積んでいます。そしてこの燃料は液体で、
衛星の中にある燃料タンクに詰め込まれています。

燃料が満タンのうちは良いですが、
減ってくるとタンクの中で丸くなってふわふわと浮いてしまいます。

地上であれば重力で下の方に集まるから燃料の取りだし口を
タンクの下の方に付けておけばよいですね。

無重力の中では上下はありません。
タンクの中で丸くなった燃料はふわふわしてどこに行くか
分かりません。

しかし燃料は最後の一滴まで使わないともったいないですね。

さて、人工衛星の燃料タンクではどうやって最後の一滴まで、
燃料を取り出せるようにしているのでしょうか。

お酒を最後の一滴まで飲み干すむために缶を逆さにして振るのと
同じようにタンクを振る? 
そんな大酒飲みのような乱暴なことはしません。

答えは表面張力を使います。

実はいくつかの方式があるのですが、良くつかわれるのは
表面張力方式と言って、タンクの中に薄い板を何枚か入れておき、
燃料の球が薄板にくっつくと、表面張力で取り出し口に燃料が
集まるようになっているのです。

これをPMD(Propellant Management Device)などと呼びます。
こんな感じです。
PMD tanks

お酒の瓶や缶にもPMDが付いていると良いかもwww。
なんて考えるのは大酒飲みだけか・・・。

(私は大酒飲みじゃないですからね~)