『S.E.Hinton: The Outsiders ⑤』 | 翻訳家の毎日

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1983年に公開された映画「アウトサイダー」


出演者は、マット・ディロン、ロブ・ロウ、パトリック・スウェイジ、トム・クルーズ、ダイアン・レイン……と錚々たる顔ぶれです。 みんな、若い!


マット・ディロンは、いい俳優になりましたよね。


地味な役柄ながら、パトリック・スウェイジは、演技力がきらりと光っていました。(「ゴースト」のイメージが強い役者さんですが、今回、興味が出て調べてみたら、お亡くなりになったのですね。)


映画は、原書にかなり忠実に描かれていたように思います。


原作でポニーボーイが14歳と書かれていても、たばこを吸ったりしていると、どうしても頭の中で描く少年像が調整されて、大人びた子を想像してしまうのですが、映像では、そういうことができないので、あどけなさの残る少年を、ほとんどこちらの心の準備がないままに、ばーんと見せつけられます。


準主役といってもいいジョニーは、ポニーボーイよりふたつ年上ですが、同じくあどけなさの残る(というかあどけなさそのものののような)子をキャスティングしています。


これが、非常に効果的なんです……。いかにも、(本来ならば社会が)守るべき存在というふうで。

終盤、原書にはないセリフにも、心が震えました。


拳銃を持つダラス(実は実弾は入っていない)に向かって警官が発砲するとき、だれかが"He's just a kid!"と叫びます。


私は、このひとことが、作品のすべてを語っているように思えました。


ポニーボーイやジョニーに比べて、ぐんと大人に見えるダラスでさえ、実はまだまだ大人のprotectionやguidanceを必要とする子どもなのです。


*****


ジョニーは"stay gold"と言い残していきますが、実際には、goldではいられません。Silverになっていくんです。(笑)


でも、goldのときは、自分がgoldだということは気づかないんですね。


だいぶ経ってから、ああ、あのときは確かにgoldだったなあと思うわけです。


大学時代、心理学の授業を取っていたとき、「思春期」「青春」というキーワードが出てきて、教授が「とりわけ多感で悩みが多い時期」と説明していました。


私は、「大人になってもいろいろな感情は経験するだろうし、悩みもあるだろうし……」といまひとつピンときませんでした。


今思うと、それは、あのとき、私はまだ「青春」の真っただ中にいたからなんですね。


今、振り返ると、確かに、あのころはきらきらと輝いていました。



Nothing gold can stay.

May that be.

Be not afraid

As in thy mind gold can stay.



なんちゃって。




(The End)