公益社団法人日本介護福祉士会の石橋会長は、2月7日、厚生労働記者会において記者会見を行い、「介護福祉士の資格取得方法の見直しの施行延期等についての緊急要望」を配布し、記者会見を行う理由を述べた上で当該緊急要望について詳細に説明した。

厚生労働省は、介護福祉士養成施設卒業者への国家試験と実務者研修の義務化を1年延期する介護福祉士法改正を決めているが、同会はこれに対して、「国家資格の信用がなくなる」と反対の意向を示した。

以下、その全文を紹介する。

「介護福祉士の資格取得方法の見直しの施行延期等についての緊急要望」

介護福祉士の国家試験については、平成19年に社会福祉士及び介護福祉士の一部が改正され、平成24年度から、介護福祉士の質の担保と社会的評価の向上を行うこととして、これまでの資格取得方法の見直しを行い、養成校等卒業生は卒業時に国家試験を義務付け、実務経験ルートは実務経験3年だけではなく、実務者研修(450時間)を受験資格として義務付けることが決まりました。
しかし、喀痰の吸引など医療的ケアの導入や介護福祉士養成校の入学定員が減少している中、準備を行うこととして資格取得方法の一元化が3年延長され、平成27年度から本格実施されることになったところです。

介護福祉士の資格取得の一元化は、介護福祉士の質が担保されるとともに介護福祉士の社会的評価の向上につながり、人材確保に大きく貢献するものです。
また、質の高い介護福祉士を養成していくことが、これから迎える超高齢社会においてこれからの多様で質の高い国民の介護ニーズに応じられることができ、介護保険制度の信用と安定化をもたらすものです。
更に、介護人材不足の解消には、介護福祉士など介護職員の処遇改善、労働環境の整備、介護職員のキャリアパスの構築などを行うことこそが求められるのです。
この間、養成校などでは国家試験対策、また現場では、すでに実務者研修を受講するなど国家資格取得の一元化に向けての準備を行っていたところです。

このようななか、国は介護人材の確保のための方策を検討するという理由で、資格取得方法の一元化を1年間延期するということで法改正を検討しています。
このことは、養成校、介護現場の混乱を招き、国家資格としての介護福祉士の信用がなくなり、社会的評価を下げることにもなります。人材確保の観点から資格取得方法を見直すということは大きな誤りです。
したがって、私たち日本介護福祉士会としては、資格取得の一元化の先送りに断回反対いたします。
予定通り、平成27年度からの資格取得―元化の実施と介護職員の処遇改善ができる介護報酬体系にすることを強く要望いたします。ご理解のほどをよろしくお願い申し上げます。(ケアマネジメントオンライン)