社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶大大学院教授)は10日、厚生労働省が示した、消費税率が8%まで引き上げられた際の対応案を大筋で了承した。案では、税率引き上げを受けての基本的な対応として、「介護報酬の基本単位数への上乗せ」が示されている。さらに基本単位数の上乗せを受け、在宅サービスにおける要介護度ごとの介護報酬額の上限である区分支給限度基準額(限度額)の引き上げも示された。限度額の引き上げは、介護保険制度の導入以来、初となる。


 在宅サービスでは、限度額を超えたサービス分は全額自己負担となる。厚労省によると、介護度が重くなるほど、基準額を超えてサービスを利用する人が増える傾向にあり、要介護5では、利用者全体の4.4%に当たる8793人が限度額を超えてサービスを利用していたほか、要支援・要介護認定者全体では7万3611人が限度額を超えていた。

 こうした中、介護報酬の基本単位数が上乗せされれば、特に中重度者の自己負担の増加が予測されるため、厚労省では基本単位数の上乗せに合わせ、限度額も引き上げることを提案。分科会でも了承された。なお、特定福祉用具販売と住宅改修の支給限度基準額は、引き上げの対象外となっている。

■消費税対応は「基本単位数への上乗せ」が基本

 この日の分科会では、消費税率が8%に引き上げられる際の対応として、▽基本単位数への上乗せを対応の基本とする▽基本単位数の割合で設定される加算や、福祉用具貸与にかかわる加算には上乗せ対応はしない。それ以外で課税費用の割合が大きいものについては、基本単位数への上乗せ率と同様、課税費用にかかわる上乗せ対応を行う▽施設サービスにおける基準費用額や負担限度額については、消費税率引き上げ後も、現在のまま据え置く―などが示され、いずれも了承された。また、基本単位数への上乗せ率など具体的な内容については「平成26年度予算編成過程において医療保険と併せて決定される」としている。

 この日の分科会では、2013年度の介護事業経営概況調査の結果や、14年度の介護事業経営実態調査の実施案なども報告され、いずれも了承された。(CBニュース)