全国老人福祉施設協議会は、11月20日、田村厚生労働大臣あてに、「通所介護と訪問介護における予防給付の総合事業への移行についての意見書」を提出した。(ケアマネジメントオンライン)

意見書は、11月15日に開催された社会保障審議会介護保険部会での提案を受けてのもので、通所介護と訪問介護の要支援者向けサービスを市町村事業に移行する案に懸念を示し、明確な制度説明を求めている。意見書の概要は以下の通り。

・通所介護と訪問介護の要支援者向けサービスが新しい総合事業によるサービス(市町村事業)に移行することが提案されているが、通所リハビリテーションや訪問介護、認知症グループホームなど他のサービス類型は従来通り予防給付で行うため、等しく認定を受けた要支援者がサービス類型によって、また居住する市町村によって受けられるサービスに大きな差異が生まれることになる。
また、要支援者が通所介護と訪問介護以外のサービスを併用して利用する例も多く、要介護認定のあり方やケアプランの構築が複雑化し、これまで以上に介護サービスを受けられにくくなることが懸念される。
同時に、通所介護と訪問介護のみを総合支援事業に移行することで、市町村が柔軟な取り組みにより、効果的・効率的にサービスの提供ができるという見直し案は、果たして実現可能かどうか多いに疑問を感じる。ついては、このような線引きについて、明確な根拠をもって国民に説明することを望む。

・市町村事業への移行で、基準やサービス費用、利用者負担についても市町村が独自で決めることになり、地域格差の拡大が懸念されるとともに、サービスの質・量の担保も課題になる。ついては、市町村の不作為で要支援者が実質的な切り捨てにあわないよう、事業者が適切に関与し、しっかりと介護予防・生活支援サービスの質を確保できるよう、ガイドラインの教示を願う。

・通所介護は、認知症対応やリハビリテーション機能などに特化したサービス展開をしている事業所が多い。こうした事業所がモチベーションをそぐことないよう、介護予防の効果に適した個別サービスについては、予防給付で適切に評価してもらうことを願う。これについても上に述べたガイドラインに明記されることを望む。