厚生労働省は14日、症状が比較的軽い人向けの介護予防サービスを市町村事業に全面移行する方針を改め、訪問介護(ホームヘルプサービス)や通所介護(デイサービス)に限って移行させるという案を社会保障審議会介護保険部会に示した。

 移行に伴う事務負担増に難色を示す市町村が多いことや、サービスの低下を懸念する声に配慮した。

 厚労省の新たな案によると、介護の必要度が低い「要支援1、2」の要支援者(約150万人)向けのサービスのうち、訪問・通所介護や生活支援を、平成27~29年度に市町村へ移行し、サービスの内容や価格を市町村が決めるようにする。市町村が地域の実情に応じて事業内容を工夫することでコスト削減を狙う。

 訪問看護やリハビリテーションなど他のサービスは、より専門的な技能が求められることから、引き続き全国一律の基準で介護事業者が行う。

 厚労省はまた、現行では一律1割としている介護保険の自己負担を高所得者に限り2割に引き上げた場合、年710億~750億円の給付費が削減できるとの試算を示した。試算を踏まえ、同部会で年内にも引き上げのプランが固まる。(産経新聞)