公益社団法人・認知症の人と家族の会は、10月12日、2013年度支部代表者会議にて、介護保険制度改革における負担引上げ・給付抑制に反対するアピールを採択した。(ケアマネジメントオンライン)

支部代表者会議アピールは、6月1日に採択した総会アピールに続くもので、介護保険制度改革における負担引上げ・給付抑制に反対し、とりわけ「要支援の人を介護保険の給付対象からはずし、市町村の支援事業に委ねる」「一定以上の所得がある人の利用料を2割に引き上げる」改革案に強く抵抗、撤回を求めている。

以下、その全文を掲載する。

■安心を保障する介護保険・社会保障制度を目指し行動しよう
2013年度支部代表者会議アピール

本日、私たちは、全ての都道府県から192 名の会員が参加して、支部代表者会議を開催しました。

10月1日、政府は消費税の8%への引き上げを来年4月1日から実施すると発表しました。消費税増税と負担増・給付抑制の二重の負担という「道理に合わない」ことが現実のものとなりつつあります。この動きは私たちが望む方向と真っ向から対立するものです。

6月1日の総会で、私たちは「増税の一方で負担引き上げ・給付抑制は道理にも合わない-予算の使い道に知恵を絞ろう」とするアピールを採択し、この動きに強く抗議する意思を表明しました。しかし、8月6日の「社会保障制度改革国民会議」報告は、予算の使い道には踏み込まず、「公助」の後退、「自助」への転化の考え方のもとに、負担増・給付抑制を積極的に打ち出しました。その方向に沿って、厚生労働省から負担増・給付抑制の具体案が社会保障審議会に示されました。

その中で、私たちが特に容認できない提案は、①要支援の人を介護保険の給付対象からはずし、市町村の支援事業に委ねる。②一定以上(被保険者の5人に1人が対象になる年金収入280万円以上)の所得がある人の利用料を2割に引き上げる、というものです。

私たちは次の理由から、これらの提案を撤回すべきであると考えています。
イ 早期発見・早期対応の認知症ケアの原則に反する
ロ 厚生労働省の認知症施策(オレンジプラン)の初期対応重視の方向性と矛盾する
ハ 利用の抑制によって重度化が速まり、保険財政の負担を増大させる
ニ 増税と負担増・給付抑制の二重負担は生活への不安をあおる
ホ 生活への不安は、消費の抑制を招き、経済活動を停滞させる

軽度認知障害の人が400万人と発表され社会に大きな衝撃を与えました。「要支援外し」はこの人たちを、全国一律のサービスから市町村任せにしようとするもので、サービスが向上する保障はどこにもありません。

私たちは、負担増・給付抑制をやめ、さらに歩を進めて、社会保障を充実させ生活への不安をなくして、心の余裕と健全な消費を生み出し、経済活動を活性化させる-そのような、誰もが老いても病んでも、安心して暮らせる社会の実現を願っています。そのために、予算に占める社会保障費の割合を大幅に引き上げるよう強く訴えます。

今よりずっと貧しかった戦後間もなく、先人たちは、知恵を絞り、大変な努力をして国民皆保険・皆年金の制度を実現しました。その困難の大きさを考えれば、今の困難を乗り越える知恵もきっとあるはずです。一人でも多くの人が、私たちの主張に賛同していただき、それぞれの立場で声を挙げ、行動してくださるよう心から訴えます。