デイサービスを利用した高齢者がそのまま施設に宿泊する「お泊まりデイ」が県内でも普及する中、静岡県は職員配置や設備などに関する指針づくりに乗り出した。

 介護保険の対象外のお泊まりデイでは、急な宿泊希望に対応しやすいといったメリットがある一方、安全やプライバシーが確保されていないケースもあるためだ。指針の内容を固めるため、県は関係施設などと協議を行っている。

 県によると、今年2月現在、県内1033の通所介護事業所のうち、7・6%にあたる78事業所がお泊まりデイを行っている。介護保険の対象になるショートステイなどは事前の宿泊予約が必要で、急な宿泊希望には対応が難しい場合があったが、お泊まりデイでは比較的安価で対応しやすく、都市部で不足する特別養護老人ホームやショートステイの施設を補完する役割も担っている。

 県はお泊まりデイを推奨はしていないが、「様々なニーズがある中の選択肢の一つ」として一定の理解を示している。

 ただ、デイサービスについては県が2年に1度の実地指導を行っている一方で、お泊まりデイは対象外。外部のチェックが入りにくく、男女相部屋で宿泊するなど、プライバシーが確保されていない施設もあるなどの課題を抱えているという。

 全国的には、東京都が宿泊定員を原則1室あたり1人とすることなどを定めた基準を2011年から施行。大阪府でも宿泊室の床面積を1室あたり7・43平方メートル以上とすることなどを決め、12年度から実施している。

 県介護指導課の高橋邦典課長は「実施する事業所が増えている以上、一定のルール作りが必要」と話し、お泊まりデイを実施する施設などと協議を行っている。

 具体的には、〈1〉夜間は1人以上の職員を配置する〈2〉利用者はデイサービスの利用定員の2分の1を上限とする〈3〉料金・設備や施設内で起きた事故について県に報告する――などを検討しているという。

 県は今後、各事業所から報告を受けた情報をホームページなどで公表し、利用者が事業所選びの参考にできるようにする方針。(読売新聞)