厚生労働省は特別養護老人ホーム(特養)の入所者を介護保険の中重度者に限る方針を見直し、条件を満たせば軽度者の入所を認める案をまとめた。三十日に開かれる社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会で案を示す。

 特養は介護が必要と認定された六十五歳以上が入る施設。介護サービスにかかる費用の九割は公費と保険料で賄われ、本人負担は一割に抑えられている。

 政府は社会保障制度見直しの手順をまとめたプログラム法案に特養の待機者対策として入所基準の厳格化を盛り込んだ。厚労省は具体案として、軽度の要介護1、2の人を対象から外し、介護の必要度が高い要介護3~5の人だけに入所を認める案を示していた。

 ただ、軽度でも、体が元気な認知症患者なら夜中に出歩くなど家族の負担が重くなるケースもあり得るため、介護関係者からは「入所基準を一律に限定するのは問題だ」と批判が出ていた。

 例外として想定されているのは、常時の見守りが必要な認知症患者のほか、周りに支える人がいなかったり、自宅で家族などから虐待を受けたりする可能性がある高齢者。特養の職員らでつくる検討委員会が入所の可否を最終判断する。詳しい基準は今後検討する。

 また、特養への入所後に心身の症状が改善して軽度になっても、特養以外での生活が非常に難しい場合と判断されれば、入所の継続を認める方針も部会に示す。(東京新聞)