福祉の人材サービスおよび育成を行う株式会社ニッソーネットは、10月15日、介護事業所を対象に実施した『介護人材の採用と活用に関する調査』の結果を発表した。

調査期間は2013年8~9月で、回答を得たのは全国442事業所(大阪が約4割)。介護スタッフの採用と活用状況を中心とした調査に加え、2012年に新設された介護の研修「実務者研修」の認知度調査なども実施した。

調査の結果、介護職員の女性比率が70%と答えた事業所が半数以上あり、介護現場が女性に支えられているという現実が浮き彫りになった。介護職員の採用に関しては、中途採用で重視するのは、介護技術や知識ではなく、人柄やコミュニケーション能力が圧倒的だった。また、介護職員不足の原因として考えられるのは、新入職員の定着率よりも、「採用活動で人が集まらない」という回答が半数を占め、「採用レベルの人がいない」という指摘も多かった。

さらに、6割以上の事業所が、介護業界が抱えている課題解決において「安倍政権に期待していない」と回答。現政権に求めたいのは、2015年度からの介護ロボット導入よりも、「介護報酬の引き上げ」「介護人材の処遇」が上位を占めた。

介護職員の資格取得について、「介護福祉士」の資格保有者は、半数以上と答えた事業者が最も多くて約3割、10%未満は7%だった。今後、介護福祉士を増やしたい事業所が約8割あり、その中でも「大幅に増やしたい」という事業所が約3割もあった。

2012年4月に新設された「実務者研修」については、その内容を知っている事業所が約8割あり、2015年度からは介護福祉士の受験に受講が義務づけられることについて約8割が知っていた。ただし、2割は「知らない」と答えており、更なる啓蒙の必要がうかがえた。

「事務者研修」の取得を推奨する理由については、「介護福祉士の受験要件に義務付けられる為」とほぼ同じ割合で、「介護職員のスキルアップの為」と回答。ただし、「医療的ケアの研修が受けられる」「サービス提供責任者になれる」という理由を選択した事業所は大変少なかった。

痰の吸引等、従来は医療行為として行われていたケアが、2012年4月から一定の研修のもと、介護職でも実施が可能になった。これについては登録が義務付けられているが、「登録している」事業所は約3割にとどまった。また、「喀痰吸引等研修」の修了者は10%未満と答えた事業所が6割以上いる一方、50%以上と答えた事業所も13.1%あった。(ケアマネジメントオンライン)