埼玉県新座市の新座市議会は、次期改正へ向けて、厚生労働省が論点の一つとしている「要支援認定者を全国一律に国が定める予防給付から同じ介護保険の枠組みである地域支援事業へ移行する」案、いわゆる「軽度者外し」について、意見書を採択した。(ケアマネジメントオンライン)

予防給付を地域支援事業へ移行する案については、地域格差が大きくなるなどの懸念が取り沙汰されており、すんなり次期改正より一斉に移行、というわけにはいかないのは目に見えている。新座市も同様で、予防給付や必要なサービス実施に関して、これまで同様の財源確保を強く要望している。

この意見書は、「地方公共団体の議会は、国会に対して意見書を提出することができる」という地方自治法第99条の規定に基づき、国会に提出される。

以下、全文を紹介する。

「要支援者に対する介護保険制度の適用を外さずサービスの継続を求める意見書」
 
平成12年にスタートした介護保険制度は、超高齢社会になくてはならない共同連帯の制度として広く認識され、多くの高齢者が利用しています。独居や高齢者世帯など家族介護に頼れない世帯が急増する中で、その役割はますます大きくなっています。

ところが、平成25年8月6日に社会保障制度改革国民会議の報告書が取りまとめられ、同21日には報告書に基づき社会保障制度改革の推進に関する「法制上の措置」骨子が閣議決定され、社会保障制度改革が再始動しました。
介護保険制度改革については、低所得者をはじめとする国民の保険料にかかる負担の増大の抑制を図るとともに、給付範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図りつつ、地域包括ケアシステムの見直しと合わせた地域の実情に応じた要支援者への支援の見直しを図ろうとしています。

介護保険制度改革については、介護保険制度維持を名目に要支援者を介護給付から除外する方向性が打ち出されています。しかし、要支援と要介護との境界が曖昧で、認知症患者が要支援のカテゴリーに入ることも多くみられます。また、要支援者を給付対象者から外すことで「介護保険料を払っても利用できない」という「掛け捨て感」が強まることも危惧されます。

国は、要支援者を地域支援事業に移しても財源構成は変わらないと言っていますが、サービスや費用負担に市町村格差が懸念されます。介護保険制度は超高齢社会の命綱です。
よって、国会及び政府においては、下記の事項について実現することを強く要望します。

                     記
1.これまで同様、国の責任において、要支援者に関して必要な保険給付を行うこと。
2.必要な介護サービスを実施するに当たっては、これまでどおり、国の負担分を含め財源を確保すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年9月26日 埼玉県新座市議会