厚生労働省は20日、「都市部の高齢化対策に関する検討会」の会合に、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を、介護保険制度の住所地特例の適用対象に加えることなどを盛り込んだ報告書案を示し、おおむね了承を得た。住所地特例は、市町村を超えて施設に入った人を、引き続き以前の市町村の被保険者として扱うことで、施設がある市町村の保険財政の負担増を防ぐ仕組み。同省は、来月2日の社会保障審議会介護保険部会に、サ高住をその適用対象とする案などを提示する。

 現在、介護保険の住所地特例の対象となるのは、特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設と、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホームなどの特定施設に入る場合。ただ、食事などを提供していて、機能的には有料老人ホームであっても、サ高住として登録していて、賃貸借方式かつ特定施設入居者生活介護を提供していない施設は、対象外となる。

 報告書案では、サ高住の94%が有料老人ホームの機能を担っており、入居者側の介護ニーズも、一般の有料老人ホームと似通ってきていると指摘。特養のように市町村を超えて入居するケースがある一方で、サ高住の多くは住所地特例の対象外のため、この状況が続くと、サ高住の所在する市町村の保険財政を悪化させる恐れがあると警鐘を鳴らした。

 その上で、具体的な解決案として、サ高住を住所地特例の対象とするか、サ高住がある市町村と、入居した人が前に住んでいた市町村の間で、財政調整を行う新たな仕組みをつくる方法の2案を示した。また、医療保険の住所地特例にも言及し、「入所後に75歳を迎えた場合に、国民健康保険の住所地特例が後期高齢者医療に引き継がれないという問題も指摘されており、併せて検討が必要」とした。(CBニュース)